デカルトの「二元論」 砕いて解説!

 

17世紀にフランスで活躍した、哲学者であり数学者の

ルネ・デカルト

「近世哲学の祖」としても知られる彼は、後の哲学者たちに大きな影響を与えた人物のひとりです。

今回は、そんな彼の代表的な思想のひとつである「二元論」について、一緒に見ていきましょう。

 

デカルトの二元論

ここからは早速デカルトの提唱した「二元論」について、その内容をご紹介していきます。

人間は2つの要素でできている

デカルトはまず、人間という「存在」についてその本質に迫ります。

彼は人間を、

・精神(心)

・身体

という2つの要素から成り立っていると考えました。

彼の遺した有名な言葉に

デカルト
我思う、ゆえに我在り

というものがあります。

これは、この二元論について論じるときにも出てくる言葉です。

人間は、あらゆる物事を考えたり疑ったりする。

そうしている限り、確かにその人は今そこに存在している。

このときそれらを担っているのが「精神」であり、思考や意識によってその人を人間としてそこに存在させています。

一方で「身体」は、その精神が宿るものであり、物質的なものとしてその人を存在させています。

前者は自身が考えるものであるため、直接知ることが可能です。

しかし後者は精神の単なる器、すなわち「物体」に過ぎず、そのために精神と身体は全くの別物であると唱えました。

つまりデカルトは、人間がこのそれぞれ独立した2つの要素で成り立っていると考えたのです。

彼はこれを「心身二元論」として唱えます。

「物体」の本質とは

次にデカルトは、人間の「身体」を含めた「物体」とは何なのかを考えます。

結論を先に述べると、彼はその本質を「様々な形態によって空間に広がるもの」としました。

精神が自身の「意識」の領域に広がるものである一方、身体を含めた物体は「空間」という領域に広がるものと言えます。

ここで押さえておきたいことがあります。

それは、人間がその物体を五感で捉えたときの感想や感覚は、その物体の「本質」ではないということです。

これに関しては、デカルトが挙げた「蜜蝋みつろうの例」でそれを詳しく見ていきましょう。

本質を語る具体例

「蜜蝋」だとイメージが浮かばない方は、ハチミツでできた蝋燭ろうそくだと思ってもらえれば大丈夫です。

これを火に近づけるどうなるか。

当然、溶けて形が徐々に変化していきます。

形だけでなく、匂いも変化して最終的には完全に溶けてなくなります。

しかしその一部始終を見ていた私たちの精神は、どんなにその形状が変化しようと、これを「蜜蝋」として捉えている。

デカルトはこの例を基に、持論を展開します。

つまり世界に存在するあらゆる物体の真の姿とは、人間が五感によって捉えた形状、色、匂いではなく、空間に何かしらの形態をとって広がるものだと考えたのです。

この広がり方は、物体の数だけ存在します。

例えば花の種が芽を出し、茎が伸びて蕾をつける。

大輪の花を咲かせた後、やがては朽ちて土に還る。

この一連の流れこそが「花」という物体の本質であり、色や匂い、茎の長さはその本質ではありません。

同じく、靴には靴という物体の広がりが、イスにはイスという物体の広がりが存在するのです。

この様に、様々な形の在りかたで空間に広がることができるものを、デカルトは物体の本質であると唱えました。

 

精神と物体

以上のことから、精神的なものと物質的なものを区別することで、二元論を成立させたデカルト。

世界は2つの根源的なものから成り立っている、という見解を示しました。

意識や思考をつかさどる「精神」と、空間に様々な形態で広がる「物体」。

私たち人間は普段、「精神」を駆使しあらゆるものを認識しています。

しかし物体の正しい認識の仕方は、五感を通した感覚的なものではないのです。

つまり、物体の本質を捉えるときに人間の「身体」を使用するのは間違いだ、とデカルトは言います。

「身体」はあくまで、ひとつの物体にすぎないのです。

 

きょうのまとめ

今回は17世紀に活躍したフランスの哲学者、デカルトが提唱した「二元論」について、その概要をご紹介してきました。

いかがでしたか。

何か新たな気づきを得られたでしょうか。

あるいは、この記事が理解を深めることに繋がれば幸いです。

最後に、今回の内容を簡単にまとめると

① デカルトは「二元論」によって世界の在り方を示した

② 「心身二元論」によって、人間を構成する2つの要素を示した

③ この「二元論」により、デカルトは「物体」の正しい捉え方に関する持論も提唱している

デカルトが唱えた「二元論」。

この思想自体は実は、プラトンら古代ギリシアの哲学者たちにまで遡れるほど、古から考えられてきたポピュラーなものでした。

しかし時代を経た科学分野における研究の発展に伴い、特に現代の脳科学などの専門家たちには、これはほとんど受け入れられない考えにもなっています。

しかしキリスト教の影響が強かった17世紀の当時では、彼のこの考えはキリスト教と哲学を結ぶ重要な思想となっており、さらに後世の思想家たちにも多くのヒントを残すものとなりました。

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