織田信長の正妻・濃姫(帰蝶)と、信長の重臣・明智光秀。
両者とも織田家の重要人物に数えられるふたりには、実は若いころ恋仲だったという説がしばしばあります。
後世の創作でもこのふたりの親密な関係が描かれる作品は多く、2020年の大河ドラマ『麒麟がくる』でも、注目されていますよね。
恋仲だった…という説は残念ながら史料が残っておらず、定かではありません。
しかし創作において、そういった想像をかき立てるほど、共通点の多いふたりであることはたしかです。
今回はそんな濃姫と明智光秀の関係に迫ってみましょう!
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濃姫と明智光秀の関係は?
濃姫と明智光秀それぞれの出自
濃姫と光秀の関係を辿るうえで一番の手がかりとなるのは、それぞれの出自です。
濃姫は美濃国(現・岐阜)の戦国大名・斎藤道三の長女。
光秀は同じ美濃の名家・明智氏の生まれで、道三に仕えていた時期もありました。
しかも美濃における明智氏の地位を考えると、光秀は道三とそれなりに近しい位置で働いていたと考えられます。
明智氏がどういった家柄かというと、道三の台頭以前に200年以上、美濃を治めていた土岐氏の流れを汲む家系です。
明智という姓も、鎌倉幕府に仕えた武将・土岐頼兼が改名して名乗ったもので、美濃の明智城はこの人が築いたお城でした。
光秀はその子孫ということで、美濃でも相応の地位を与えられていたと考えられます。
道三の居城・稲葉山城にも出入りしていたでしょうし、濃姫と顔を合わせる機会もあったでしょう。
そして濃姫と光秀には同じ国の大名の娘と重臣という以上の関係があった可能性もあります。
いとこだった可能性も…
そう、濃姫と光秀は、実はいとこ同士だという説があるのです。
このことは江戸時代に記された軍記物『明智軍記』などに、家系図で記されています。
上記の史料によると
「濃姫の母・小見の方は光秀の祖父・光継の子」
だとのこと。
つまり光秀の父・光綱とは兄妹関係だったというのです。
だとすれば、光秀にとって小見の方は叔母にあたり、濃姫とはいとこということになります。
これなら大名の娘と重臣の関係以上に、親密に接していたとしても不思議ではありませんよね。
しかし軍記物というのはあくまで後世の創作なので、これもまた憶測の域を出ません。
とはいえ、当時の家系というのは政略結婚でつむがれていくものだったので、道三が土岐氏の流れを汲む明智家と親戚関係というのは普通にあり得る話です。
親密であっても恋仲だった可能性は低い
以上のことから、濃姫と光秀が親密な関係だった可能性は十分にあります。
しかし恋仲だったことは、おそらくありません。
というのも、光秀は1545年、17歳のころに正妻の熙子と結婚しています。
彼はなにより生涯一人を愛した愛妻家として知られており、同時期に濃姫と恋仲だったことは考えにくいのです。
濃姫は光秀より7歳ほど年下なので、熙子と出会う以前に付き合っていた可能性も低いでしょう。
ただ濃姫にとって光秀が「親戚のお兄ちゃん」という感じの存在だったとしたら、それはそれで微笑ましいですね。
織田信長の正室と重臣
濃姫と光秀は織田信長にとって正室・重臣というそれぞれ近しい関係にありました。
光秀は織田家と室町幕府の両方に出入りしており、両者の関係を取り持つ重要な役割を担った人物です。
よって家臣のなかでも特に信長から信用を得ていた存在だといえます。
これを踏まえると織田家の人間になってからも、濃姫と関りがあった可能性も十分にありますね。
ひょっとすると父の斎藤道三が討たれたあと、濃姫にとって光秀は数少ない同郷の者として、心のよりどころになっていた…なんてこともあるかもしれません。
また信長に嫁いで以降、濃姫の記録がまったく残っていないことから、
「本能寺の変で光秀に味方して信長を裏切った」
という創作もあったりします。
もし本当にそうだったとしたら、相当にドロドロな三角関係ですよね…。
斎藤道三の死後・濃姫が明智家に身を寄せたという話も
これも憶測に過ぎませんが、
「1556年の美濃統一戦で斎藤道三が討たれた際、同盟の意味がなくなったといい、信長が濃姫を離縁した」
とする説があります。
その際、道三を討った兄の義龍が斎藤家の実権を握ったため、濃姫は実家には戻らず、明智家に身を寄せたというのです。
結局、道三に味方した明智光安は義龍に討たれてしまうため、この説によれば濃姫も明智家とともに没したことになります。
そもそも信長が濃姫を離縁した可能性も低いので、信憑性にはかけるます。
しかし、こういったエピソードが生まれることからも、彼女と明智家の関わりの深さを感じさせられます。
きょうのまとめ
濃姫と明智光秀との関係は、史料が残っていない以上、なにを言っても憶測の域を出ません。
ただふたりが親密な関係だったと考えると、信長を介してもさまざまな妄想が浮かんできて楽しいですね。
最期に今回のまとめをしておきましょう。
① 濃姫の母・小見の方は光秀の叔母?ふたりはいとこだったかもしれない
② 光秀は若くして熙子と結婚していて、濃姫は7歳年下だったため、恋仲の可能性は低い
③ 濃姫は信長の正室・光秀は家臣でも重要な立ち位置…織田家でも交流があったのでは…
筆者としては恋仲というより、織田家内で会えば昔話に華が咲くような関係だったらおもしろいな…と感じます。
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