一休さんは自分のことを「狂雲子」と名乗りました。
禅僧ですが、それまでの禅宗や仏法の常識におさまりきろうとしません。
「人間らしさ」の上に道を求めた人。
今回はそんな一休宗純ならではの痛快で、味わい深い逸話を紹介してまいります。
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一休宗純クセあり魅惑の逸話集7選
天皇のご落胤説
一休さんは後小松天皇(1377~1433年)のご落胤(えらい人の秘密の子)という説が一般的です。
当時、まだ南北朝時代が終わったばかり。
余韻も冷めやりません。
伊予局はもともと南朝ゆかりの女性です。
北朝方の後小松天皇との間の子をお腹に宿します。
が、皇位継承をねたまれ、
「南朝と通じている」
とうわさを流され、御所を追われることになってしまいます。
そして、京都西部の山の手にある嵯峨野で男の子を産み落とし、その赤ん坊こそ一休と伝えられております。
出自にこだわらない
当時、思春期ごろの一休さんは、お寺のお坊さんたちが武士にはうやうやしく頭を下げたり、
「わたしの先祖は源氏だ」「わたしの先祖は公家だ」
などと自慢しあっているのを聞いて、
と漢詩に歌っております。
座禅よりも心の中を見つめる
一休は20才にして
「座禅は悟りへの道ではない。悟りは迷いの中にある」
という境地にいたりました。
座禅は人によって悟りへの道なのかもしれませんが、
「これさえやればあなたはかならず成功するよ」
的なものはえてして“あわない”人がいっぱい出てきます。
本質的な問題は「禅をやるかどうか」ではなく「悟り」だろ、ということでしょうか。
二度の自殺未遂
一休さんは二度自殺未遂をおこなっております。
一回目は一休21才の時。
謙翁宗為というものすごく尊敬してやまないお師匠さんが亡くなりました。
そのあまりの悲しみに瀬田川(滋賀県大津市、琵琶湖から流れ出る唯一の川。急流で知られ、大海人皇子や明智光秀の軍を足止めしたことがあります)に飛び込もうとしました。
が、側にいた人に抱きどとめられ、
「お母さんより先に亡くなると親不孝ですよ」
といわれ、思いとどまったそうです。
二回目はもっと大人になってから。
お坊さんたちが派閥争いをやってたくさん投獄され、自殺者までも出るという事件が起こりました。
すっかり世をはかなんだ一休さん。
山にこもって絶食自殺を試みます。
しかし、時の天皇より思いとどまるよう勅命(天皇の命令)が下され、一休は絶食をやめました。
托鉢ではなく内職でまかなう
一休は華叟宗曇というお師匠さん(※1)の薬代を得るために托鉢(※2)ではなく、香り袋やひな人形の衣を作ってはお金に換えていたようです。
(※1)謙翁宗為の没後、次に求めたお師匠さんです
(※2)托鉢。お坊さんがほどこしを与えてもらうために回ること
カラスの声で悟る
一休27才のころ。
夜、一休が琵琶湖の船上で禅をくんでおりました。
すると、闇の中にカラスがカーーッと鳴きます。
それを聞いて一休は
「カラスは見えないけれど、たしかにその声でいるのを確かめられる。おしゃか様もみえないけれど心にいるのだ」
と悟りました。
お師匠さん華叟はこれを知り、「もう教えることは何もない」と「印可状」を授けようとしますが、
一休さんは断ってしまいます。
華叟は「バカ者」と言って、華叟のもとを去ってゆく一休さんを送り出しました。
朱塗りの鞘の竹刀
一休さんはいつもよれよれの汚らしい法衣をまといながら、なぜか立派な朱塗りの鞘の刀をいつも脇にはさんで持ち歩いておりました。
それを不思議に思った人が、
「なんでそんなものを持ち歩いてるんです?」
とたずねてみると、一休さんはさっとその鞘を抜きはらいました。
するとその刀身はただの竹です。
「最近のえらい坊さんなんてこんなものだ」
と一休さんは言いました。
きょうのまとめ
一休さんはお酒も肉もドンドンです。
なかなかの女ったらしで、50才以上も年下の遊女だった盲目の森女のことを「楊貴妃のようだ」と言って普通にいっしょに暮らしてしております。
だれとのかはわかりませんが、しっかりお子さんがいて自分の弟子にしております。
E◇レビジョン『〇となの一休さん』にも描かれておりますが、現世的にちゃっかり(しっかり?)した兄弟子、養叟(ようそう)とはなかなか激しくやりあっております(※)
(※)一休さんは養叟のことを「金で禅を買っている」とこき下ろしているようです。仏像などの偶像の「いる」「いらない」で大論争をやりあってもおります。どちらがどっちかはご想像の通りです。
① 一休宗純には後小松天皇のご落胤説がある
② 一休宗純は二度自殺未遂をしている
③ 一休宗純はカラスの声で悟りを開き、師からの「印可状」も受け取らなかった
一休さん独特の魅力。
その人気は子どもであっても大人になっても健在のようです。
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