ケネディ大統領の演説の魅力って何?

 

ジョン・F・ケネディ大統領は、演説上手で有名な人物です。

演説力で大統領になれたといわれる「第44代バラク・オバマ大統領」が、スピーチのお手本にした人物は、ジョン・F・ケネディ大統領だったというのは有名な話です。

でも、ケネディ大統領は、生まれつき演説の才能があったわけではありません。

1946年の選挙運動での自信なさげなスピーチを見て、側近たちは“これはだめだ”と溜息をついたとか。

それどころか、

「彼は演説家には向いていなかった。拍手喝采もない。演説に関しては誰もががっかりした。」

と、最初の演説から10年後に補佐官をしていたフレッド・ダットンは語っています。

今回は、世界で初めて行われた大統領選のテレビ討論とケネディ大統領就任演説から見える、彼の演説の魅力についてお話ししたいと思います。

 

大統領選のテレビ討論

ジョン・F・ケネディ

ジョン・F・ケネディ
出典:Wikipedia

7000万人を惹きつけたビジュアル

初めて大統領候補テレビ番組に出演し討論したのは、1960年9月26日のジョン・F・ケネディとリチャード・ニクソンの討論会でした。

討論内容は、ニクソンが勝っていたものの、テレビ映えするハンサムなケネディの溌剌はつらつとした姿は、説得力があり、語る内容も立派に見えたようです。

実際にラジオを聞いた人はニクソンが有利と思い、テレビ討論会で堂々と主張するケネディ大統領を見た7000万人もの視聴者は、ケネディの方が有利と思ったといわれています。

ケネディが主導権を握った討論会

討論会のテーマは国内政策でしたが、ケネディは外交を語らずして国内政策は語れないと主張。

ニクソンの得意分野を一気に突き崩し、視聴者に焦点を合わせ、記者団の質問、討論相手のニクソンすらも無視しました。

主導権を握られたニクソンは、論点を視聴者ではなくケネディに合わせる羽目になったのです。

世論が不安に感じていたキューバのカストロ政権とソ連との危機的な状況を巧みに使い、

「自由が続き、自由が勝利を収めるためには、どんなことでもやり遂げます。」

と強く主張しました。

カストロ政権やソ連に容赦ない警告を浴びせ、国際的な対決にはビクともしないが、第三次世界大戦を起こそうと思ってはいないと語っています。

ケネディの勝因は

・ニクソンの政策を徹底的に理解し突き崩す

・無理やり公開討論の場に引き出す

・視聴者に論点を合わせ主導権を握る

作戦によるものと言えるでしょう。

 

大統領就任演説

最強のアシスタント、ソレンセンとの出会い

ケネディは、自分で優れたスピーチ原稿が書けるほどの秀才でしたが、1952年の上院議員選挙の後、5分の面接を2回しただけで、セオドア・C・ソレンセンというスピーチライターを雇いました。

弁護士だったソレンセンは情報量が豊富な優秀な人材で、ケネディにとっても理想的なアシスタントでした。

もちろん大統領演説の時も、最初に国民の心を掴む方法や演説の時間など、細やかなアドバイスもしたようです。

就任演説までの苦労

ソレンセンを中心にリチャード・グッドウィンやマイヤー・フェルドマンも加わった、スピーチライターチームを結成しました。

就任が決まってからケネディ大統領は多忙を極め、就任式の一週間前になってやっと演説に着手しています。

ケネディから演説したい内容を聞いたうえで必要な情報を収集し、ソレンセンが草稿を書きました。

特にリンカーンのゲティスバーグ演説についての調査は、ケネディの意向もあり研究し尽くしています。

これまでの演説では、ケネディによる修正はなかったのですが、大統領就任演説の際はケネディ自身が何度も手を加え推敲しながらまとめました。

時には原稿をチームに突き返し、全てやり直させたこともあったようです。

ケネディが修正した箇所は、

「説得力があり、その部分は特に魅力的なものに仕上がった」

と、後にソレンセンは語っています。

演説当日の1961年1月20日のホワイトハウス周辺は、珍しく20cmもの雪が積もりました。

情報収集と短い時間での努力は、演説に反映し大好評でした。

ケネディの演説の特徴

ケネディの演説が魅力的な理由を簡単にまとめると以下のようになります。

・伝えたいことを簡潔にまとめ、短い文や言葉を使い、短い時間で演説

・聴衆を中心とした理解しやすく快く聞けることを念頭においた

・訴えたいことを強調するため、あえて正反対の言葉を使い、強調したい言葉を繰り返して使った

・頭韻法を使用し、連続する言葉や文で、同じ子音や同音を繰り返す方法を多用し印象付けた

 

ケネディ大統領の演説から生まれた名言

最後に「ケネディ大統領の演説から生まれた名言」も、ご紹介いたしますのでこちらも一読ください。

Ask not what your country can do for you; ask what you can do for your country.

(祖国に対して何を望むかよりも、自分が祖国に何ができるかを考えるべきである)

Liberty without learning is always in peril; learning without liberty is always in vain.

(学問を伴わぬ自由は危険であり、自由を伴わぬ学問は空虚である)

United there is little we cannot do in a host of cooperative ventures.

(私たちが一丸となり、力を合わせてことにあたれば何でも達成できるはず。)

Only those who dare to fail greatly can ever achieve greatly.

(大きな失敗を恐れない者だけが、大成功を収め得る。)

 

きょうのまとめ

ケネディ大統領の演説の魅力は、以下のことがあげられるでしょう。

① 大統領選では初のテレビ討論会に持ち込み勝利した

② 最強のスピーチライター、ソレンセンとタッグを組んだ

③ 大統領就任演説では自身でも何度も手を加え推敲した

他にもキューバ危機に際してのテレビ演説など、ケネディ大統領は色々な場面で演説をして人々を魅了しました。

彼の演説からは厳しさの中に、彼の笑顔が物語る優しさも兼ね備えた、カリスマ的な指導者としての生き様を感じられます。

こちらのサイトでは他にも、ケネディ大統領に関する記事をわかりやすく書いています。

ご興味のある方は、ぜひご覧になってください。

 
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