二宮金次郎尊徳は
一般的に学校の校庭で薪を背負い歩きながら読書をしている像で知られております。
しかし、実際は何をなしたのかというのは、最近あまり知られておりません。
今回はそんな彼の生涯と業績について見てまいりましょう。
ちなみに尊徳は「そんとく」として知られておりますが、当時の呼び名は「たかのり」です。
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二宮尊徳はどんな人?
- 出身地:相模国足柄上郡栢山(現在の神奈川県小田原市栢山)
- 生年月日:1787年9月4日
- 死亡年月日:1856年11月17日(享年69才)
- 理想と現実をしっかりと見すえ、多くの村々などの暮らしを救った
二宮尊徳の年表
1782~1788年天明の大飢饉
1787年(0才)二宮尊徳生まれる
1800年(13才)父利右衛門、病死する
1802年(15才)母よし亡くなり、親族の萬兵衛(まんべえ)の元に身を寄せる
この年、酒匂川の氾濫で金次郎の土地が田畑もろともすべて流される
1808年(21才)尊徳、二宮家再興を宣言
この年、尊徳は困窮する相模藩家老服部十郎兵衛の家政の立て直しを依頼される
1819年(32才)尊徳、相模藩士のための五常講を起こす
やがて、各村などの救済を依頼、命じられ奔走する
1833~1839年天保の大飢饉
1842年(55才)尊徳、幕府に召し抱えられる
1856年(69才)尊徳、下野国今市群(今の栃木県日光市)の報徳役所にて死す
二宮尊徳、苦難に育ち、挑み、立つ
二宮尊徳はわりと豊かな農家の生まれです。
しかし、早くにお父さんやお母さんなどの大事な親族を次々と亡くし、
受け継いだ田畑などの土地を一切洪水で流されてしまったりと
大変な苦労の中育ってゆきます。
ちょうど尊徳が自分の家も田畑もなく、ある親族の家に居候となっていた身の上の時、
家主に
「灯油をムダづかいするな」
と嫌みを言われておりました。
尊徳はそれでも堤防にアブラナを植えて、油を採り、夜の読書のための灯油に使ったといわれます。
やがて元の土地を買い戻し、小作人を雇って地主となり、一方で武家のお手伝いさんとしても働きます。
25才ごろ、ついに二宮家の再興を宣言いたします。
二宮尊徳、”立て直し”のプロフェッショナルになる
ちょうどこの頃、尊徳の手並みを聞きつけた小田原藩家老から
「大変な借金にあえぐ自分の家の台所事情を立て直してほしい。」
と依頼を受けます。
尊徳はこれに応じ、見事”立て直し”に成功!
その成果から生まれたあまりのお金を、
「報償だ」
と勧められますが、尊徳はそれをきっぱりと断ります。
こうしてその人となりもふくめて、評判が評判を呼び、各地の村々などから”立て直し”の依頼や命令を受けるようになります。
協同組合のルーツ”五常講”をつくる
さて、そうやってはげんでいるさなか、
尊徳は急な出費にこまる小田原藩士たちにある画期的な取り組みを発案いたします。
“五常講”です。
五常とは儒教でいう「仁・義・礼・智・信」の五つの徳目を表します。
・困っている人にお金を貸すのは仁(思いやり)
・それを返すのが義(ルールを守る)
・利子を付けるのは礼(マナー)
・そのために工夫するのが智(知恵)
・こういう関係で結ばれているのが信(信頼)
こうしていざというために複数の人間でお金を出し合って積み立てる、
いわゆる今の農協や漁協などの”協同組合”のルーツを作ったといわれております。
挫折して山にこもることも
ただし、さすがの尊徳とはいえ、いつも成功していたわけではございません。
一度は村人たちに反対され、山にこもって断食修行をしていた、こともあったようです。
ものすごいがんばり屋さんだけに、挫折した時の根のつめようもまたとことんですね。
尊徳、最後まで”報徳”に殉ずる
やがては幕府に召し抱えられ、最後はその出張先で亡くなります。
本当にただひとつの命を最後まで使い切りましたね。
尊徳はどんな思いで最後をむかえたのでしょうか。
きょうのまとめ
もうこうして書いていても何やら恐れ入るばかりです。
彼は”道”というものを重んじ、実践してゆくよう心掛けました。
我欲にまかせず、より大きなものを意識する。
かといってその大きいことを成しとげるために、些細な積み重ねを大事にする。
理想と現実のバランスをうまく昇華させた”暮らし”のマエストロではないでしょうか。
① 二宮尊徳は若いころの度重なる不遇を持ち前の”熱心さ”と”知恵”と”ねばり”で乗り越えた
② 二宮尊徳は協同組合のルーツ”五常講”を発案するなど、各地で”暮らしの立て直し”に大変な功績を残した
③ 二宮尊徳は出張先でその生を終えた
「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」
古今、多くの企業人が心酔してやまないという尊徳の”報徳”の生き方から、
私たち個人・組織・社会・宇宙それぞれのマーケティングというものを今一度問い直してみるのもいいかもしれません。
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