飛鳥時代、推古天皇は初の女性天皇として即位(実在が確認されている)します。
そして聖徳太子を摂政に任命しました。
なぜ、推古天皇は聖徳太子に政治を委ねたのでしょうか。
そこには推古天皇の優れた策略がありました。
今回は推古天皇と聖徳太子についてご紹介します。
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推古天皇即位を巡る人間関係と時代背景
推古天皇、聖徳太子と蘇我馬子(そがのうまこ)の血縁関係
まず、推古天皇と聖徳太子、そして蘇我馬子の関係について説明します。
推古天皇は、聖徳太子の母親の穴穂部皇女の姉にあたり、
聖徳太子とは叔母と甥の関係です。
そしてもうひとり重要な人物が、大臣の蘇我馬子です。
蘇我馬子は推古天皇の叔父にあたります。
当時、天皇の力はさほど強くなく、豪族達と協調しながら国を治めていました。
なかでも、最大の豪族であり推古天皇の叔父だった蘇我馬子は
天皇家や政治に対して大きな影響力を持っていました。
推古天皇の即位の経緯
前天皇である崇峻天皇が
蘇我馬子に政治の実権を握られていることに不満を持つようになると、
崇峻天皇と蘇我馬子は対立するようになります。
592年、両者の関係はさらに冷え込み、ついに蘇我馬子は崇峻天皇に攻め入り殺害してしまいます。
その後、皇子達の誰かを天皇に立てようとしますが、
候補の皇子たちは、まだ若く即位させることが出来ませんでした。
この皇子達の中には聖徳太子も含まれていました。
当時は、天皇になるために血統だけではなく、経験や年齢も重視されていたのです。
そこで、蘇我馬子が目をつけたのが、その頃は炊屋姫と呼ばれていた推古天皇です。
炊屋姫は女性ですが、第30代敏達天皇の皇后で身分も申し分なく、
非常に優秀な人物として知られていました。
蘇我馬子は、皇子達が成長するまでの中継ぎとして彼女を天皇として推薦します。
女性であり自分の姪である炊屋姫が天皇になることで、
政治の実権が握りやすくなるという思惑もありました。
593年、こうして炊屋姫は第33代天皇、推古天皇として即位することになりました。
推古天皇の切り札、聖徳太子。
しかし、推古天皇は蘇我馬子が思うよりもずっと有能な政治家でした。
推古天皇は蘇我馬子が政治の専横をしていることを快く思っていませんでした。
また、蘇我馬子の協力が無ければ、国を治めることが出来ないこともわかっていました。
そこで、彼女は優秀と評判の甥、聖徳太子を摂政に任命します。
推古天皇の庇護の下、聖徳太子と蘇我馬子が
協力しあって、国を治めることになりました。
聖徳太子を立てることで、蘇我馬子との関係を保ち、
且つ蘇我馬子の政治の専横を防ぐことに成功したのです。
これは、推古天皇の優れた政治バランスがなければ出来ませんでした。
聖徳太子の政治
推古天皇に政治を任された聖徳太子は急進的な政策を進めます。
聖徳太子の優れた政治は、推古天皇の庇護によって実現したといってもよいでしょう。
国際的な独立国家を目指す
聖徳太子の代表的な実績として、遣隋使派遣があります。
聖徳太子が派遣した遣隋使は先進国の隋(当時の中国)に使者を派遣し
・国交が途絶えていた中国との国交を再開すること
の2つの目的がありました。
聖徳太子が、「日出処の天子・・・・・・」で始まる書き出しの手紙を遣隋使を通して隋の皇帝に渡し、
激怒させたエピソードは有名です。
あの手紙は、超大国の隋に倭(日本)を独立国として認めさせるためのものでした。
当時の国際情勢もあって、隋の皇帝は遣隋使を処刑せず、
事実上、「倭を独立国として認めた」形となりました。
天皇中心の国家を目指す
聖徳太子は蘇我馬子の協力を仰ぎ、「天皇中心の国づくり」を目指しました。
豪族の不和を解消し、決まりによって国をまとめるために、
「十七条の憲法」や「冠位十二階」を制定しました。
聖徳太子が亡くなると、天皇中心の国づくりは中断することになりますが、「十七条の憲法」や「冠位十二階」は、乙巳の変から始まる律令制定への礎となりました。
きょうのまとめ
推古天皇と聖徳太子の関係を紹介しました。
いかがでしたでしょうか。
簡単にまとめると
① 推古天皇にとって聖徳太子は甥、蘇我馬子は叔父
② 蘇我馬子の推薦により、推古天皇は即位
③ 蘇我馬子の政治の専横を防ぐために聖徳太子を摂政に任命
④ 聖徳太子は推古天皇の庇護のもと、急進的な政治を行う
聖徳太子と蘇我馬子を協力させて、蘇我馬子の政治の専横を防ぎ、天皇中心の国づくりをさせた
推古天皇は非常に有能な女性でした。
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