演劇史に残る名作を次々に書いたシェイクスピア。
中でも、四大悲劇の、『ハムレット』、『オセロー』、『リア王』、『マクベス』は有名ですね。
2016年に没後400年を記念して公開された映画『マクベス』をはじめ、現在でも古典劇の代表として映画や舞台が上演されています。
今回は、シェイクスピアの四大悲劇を、簡単にご紹介します。
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四大悲劇とは?
四大悲劇はいつ書かれた?
17世紀に活躍した劇作家「シェイクスピア」の作品は、6つの時代に分けられます。
・修業時代(1589~1593)
『エドワード三世』、『ヘンリー六世』、『じゃじゃ馬馴らし』など
・宮内大臣一座時代(1594~1599)
『ロミオとジュリエット』、『リチャード二世』、『ジョン王』など
・円熟時代(1599ごろ)
『ジュリアス・シーザー』、『から騒ぎ』、『お気に召すまま』など
・悲劇時代(1600~1606)
『ハムレット』、『オセロー』、『リア王』、『マクベス』
『尺には尺を』、『アントニーとクレオパトラ』など
・ロマンス時代(1608~1611)
『ペリクリーズ』、『冬物語』、『テンペスト』など
・晩年期の共同作(1613)
『ヘンリー八世』など
四大悲劇は(『ハムレット』、『オセロー』、『リア王』、『マクベス』)、「悲劇時代」に書かれました。
彼が書いた戯曲の中でも、歴史的要因が濃いものは歴史劇、悲劇的要素の高いものが悲劇とされています。
三代悲劇と言われるものは、オセローを除外した『ハムレット』、『リア王』、『マクベス』です。
シェイクスピアの作品の特徴
シェイクスピアの作品は詩的!
欧米と比べて日本ではあまりシェイクスピアの作品がメジャーになっていません。
彼が残した戯曲は37作。
セリフは長く、詩的なものが多いのが特徴です。
情熱的に書いている分、言い回しがややこしく、読みにくい面も否めません。
歴史を物語調に!
歴史上の人物をフィクションによって、物語の場面を印象深く描いています。
しかも、歴史では登場しない人物を作り、人物の特徴を強く押し出し悲劇性をより強調しているように思えます。
その分、心に残り考えさせられることが多いです。
四大悲劇のあらすじ
『ハムレット』のあらすじ
王子ハムレットの父暗殺犯への復讐にまつわる悲劇。
エルノシア城では、夜ごと暗殺された先代王であるハムレットの父の亡霊がでると家来たちが噂をします。
それを聞いた王子ハムレット、見張りに立ち父の亡霊と出会いました。
「自分を殺した蛇は今、王冠を頂いている」と、父の亡霊から聞いたハムレットは、復讐することを決意。
しかし母は、父の弟で王となったクローディアスと再婚します。
復讐のため狂気を装うハムレットに母は戸惑うも、家臣のポローニアスはハムレットと恋仲だった娘のオフィーリアへの恋の病だろうと気に留めません。
ハムレットは、旅まわりの役者に、父の亡霊が語った暗殺シーンを入れた芝居をさせました。
クローディアスが敏感に反応したため、犯人はクローディアスだと確信しました。
母の部屋に訪れた時、部屋にいた男をクローディアスと間違い剣で刺殺します。
殺した相手は、愛するオフィーリアの父でした。
恋人に父を殺されたオフィーリアは、精神を患い川で溺死します。
父と妹をハムレットに殺されたオフィーリアの兄レアティーズは、クローディアスと手を組み仇を打つことを決意します。
毒の剣と毒杯を用意し、ハムレットに剣の試合を申し込みました。母は毒杯を誤って飲み死にます。
レアティーズも用意した毒の剣で負傷し、死ぬ間際にクローディアスの悪事を暴露しハムレットと和解した後死亡。
ハムレットはクローディアスに毒杯を飲ませ、自分も毒の剣で命を絶ちます。
新たに王となったノルウェーのフォーティンブラスによって、
ハムレットの葬儀が命じられます。
『オセロー』のあらすじ
本当に信じるべき妻を死に追いやった男の悲劇。
ヴェニスのムーア人将軍のオセローは、彼に悪意を抱く「正直者のイアーゴー」を部下に持っていました。
好きだった議官の娘に恋し成就するも、イアーゴーがあらゆる手を尽くし二人の仲を裂こうとします。
イアーゴーの企みを信じたオセローは、妻が浮気をしたと思いこみ、首を絞めて殺したのです。
虫の息の妻は、イアーゴーの妻で侍女のエミリアに「悪いのは自分であり、優しいオセローのことを頼む」と死にました。
イアーゴーは、自分の悪事に気付いた妻を口封じのために殺しました。
激怒したオセローは、イアーゴーに斬りかかりますが、周りに止められます。
真実を知り無実の妻を殺したと嘆きました。
そして、ベッドで眠る妻に口づけをし、「賢い愛し方はできなかったが、愛しすぎてしまった男だ」といい、
隠し持っていた短剣で自らの喉を刺し絶命します。
『リア王』のあらすじ
末娘の真の愛を見抜けなかったリア王の悲劇
老王リアは、三人の娘に王国を分け与えようと、自分への愛を言うように命じます。
姉二人は、流暢な言葉で愛情を表現し王を喜ばせます。
しかし、末娘は「何も言うことは、ありません」と言い、激怒したリア王に勘当されました。
彼女は、持参金無しでフランス王に嫁ぎました。
引退したリア王は長女のところに身を寄せるも、供回りの騎士を減らされ、愛情のかけらもない扱いを受けました。
怒ったリア王は嵐の中、長女の元を去ります。
次女は父が死んでも構わないと、嵐の中でも門すら開けませんでした。
リア王は娘たちの愛情のなさに正気を失います。
一方、フランス王妃となった末娘が、父を助けるために軍隊を引き連れてやってきました。
リア王は末娘に謝り和解をするも、長女と次女率いるブリテン軍にフランス軍が破れ、リア王も末娘も投獄されました。
長女はある男性への嫉妬心から、次女を毒殺してしまいます。
悪事を夫に知られた長女は自殺しました。
リア王は末娘を助けようとするも、彼女は絞首刑に処せられてしまいました。
ラストシーンは、リア王が末娘の遺体を抱きかかえながらショックで絶命します。
『マクベス』
魔女の予言から生まれた欲望!血塗られた裏切りから得た王の座は安泰ではなかった…。
将軍マクベスと将軍バンクォーが、凱旋中の荒野で三人の魔女と出会います。
「万歳、マクベス、やがて王となるお方」と魔女に挨拶されます。
バンクォーは「息子が王になる」と、予言を受けました。
マクベスが王になる決意をしたころ、従姉妹で王のダンカンがマクベスの城に泊まりに来ました。
マクベスは暗殺を企てるも、一旦は思いとどまります。
しかし魔女の予言を知っていた妻に、暗殺を促され実行しました。
「殺したのは王が連れてきた護衛で、首謀者は隣国に向かっていたダンカン王の息子のマルコム」と、彼らに濡れ衣を着せます。
めでたく王になったマクベス。
魔女の予言通り、今度はバンクォーの息子に暗殺されるのではと恐れ殺害を決めます。
バンクォーは殺すも、息子を逃してしまいます。
そんな中、マクベスが王となった宴の席に、血まみれのバンクォーの亡霊が現れ、マクベスは慌てふためきます。
その様子を見た、貴族のマクダフは亡命を決意しました。
マクベスは王座についても、不安ばかりよぎり心落ち着く時はありません。
魔女の元に訪れ、これから自分がどうなるか予言せよと命じます。
魔女は、「女から生まれたものに、マクベスは倒せぬ」と予言します。
前王の息子マルコムが攻めてきますが、予言の言葉を信じているマクベスは戦いました。
しかし、バンクォーの息子マクダフに追い詰められたマクベスは、
魔女の予言を語るも、マクダフに
「生まれる前から自分は、母の腹から月足らずで引きずり出された」
と返され討ち死にしました。
きょうのまとめ
シェイクスピアの四大悲劇をご紹介しました。
いかがでしたでしょうか。
簡単にまとめると
① 四大悲劇は、悲劇時代に書かれた作品
② セリフが長く詩的なものが多い
③ 歴史上の人物を、フィクションを使い物語調に描いた作風
シェイクスピアの代表作の一つ「ロミオとジュリエット」は、残念ながら初期に書かれたものだったことから四大悲劇には入っていません。
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