イタリア・ルネッサンスを代表する3大画家といえば、
●レオナルド・ダ・ヴィンチ
●ミケランジェロ
そしてもう一人が
●ラファエロ
です。
あなたはこの3人の中でどの人の作品が好きですか。
今回紹介するラファエロといえば、「女性的」「優美」な画風で知られています。
37才で若くして亡くなってしまった天才画家の絵画代表作とそこから垣間見れる彼の生きざまを紹介してまいりましょう。
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ラファエロの絵画代表作5点
自画像
当時、21~23才くらいのラファエロです。
たんにイケメン、というだけでなく、とても女性受けしそうな顔です。
知的、優し気、ちょっとあまえんぼっぽく、そしてどこか影を帯びたような感じもまたとりこにするのではないでしょうか。
実際、ラファエロはこういう評判です。
「惚(ほ)れやすく、女好きで、すぐに女のご機嫌を取るタイプの男」(伝ヴァザーリ)
ラファエロはある恋人のことが気になって絵に集中できなかったこともありました。
そこで依頼主は気を遣って仕事場にその女性を招き、一緒に住ませて、完成させたということです。
ただ意外にも、ラファエロは生涯独身です(3大画家の共通点です)。
美しき女庭師
ラファエロといえば聖母子シリーズです。
ラファエロはわずか8才で母を亡くしております。
ラファエロの聖母子はいずれも赤ん坊(キリストをモチーフ)と若い女性(聖母マリアをモチーフ)がとても親密です。
それまでの聖母子といえばどうしても宗教的な厳かさが漂っておりましたが、彼の作品にはより純粋で素直な母子の愛情にあふれています。
本当に女性が好きなラファエロでないと描けるものではありません。
女性というものは私たち男性と比べて明らかに生というものに従順です。
つまり、ラファエロのこれらの絵は大いなる“生の賛歌(たたえる歌)”。
彼の聖母子像をいろいろと見比べてみてください。
必ずと言っていいほど構図の前から“赤ん坊”―“女性”―……、となってゆきます。
つまり、生に近い方から順に、となっているのです。
そして、ラファエロの聖母子で見逃してならないのが、右側のお兄さん風の赤ん坊。
これも彼の聖母子画でよく使われるモチーフ“洗礼者ヨハネ”です。
洗礼者ヨハネとはイエス・キリストの親戚で、イエスに洗礼を授けた先輩宗教家です。
ラファエロはこんな感じの“兄貴”といったものにも強いあこがれを抱いていたのでしょう。
小椅子の聖母
こちらもラファエロを代表する聖母子シリーズから。
ラファエロ絵画中、日本で最も人気があります。
そして、私も一押しです。
ラファエロの聖母子シリーズは同時代のレオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロの作品よりずっと親しみやすいように思われます。
それもそのはずです。
ラファエロがこれらの作品を手掛けたのはいずれも共和政時代のフィレンツェ。
つまり、専制君主のいない市民が主役の社会です。
だから、お仕事依頼者はいずれも私たちと同じ市民なのです。
アテナイの学堂
ラファエロはやがてその名声が高まり、ローマ教皇からお仕事をうけおうようになります。
すると、画風は一変します。
『アテナイの学堂』はバチカン宮殿の署名の間に描かれた壁画です。
この壮大さはレオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』を思わせます。
実際、ラファエロはレオナルドやミケランジェロら先輩天才芸術家の技を自分にも取り入れるのに大変一生懸命だった人です。
そして、この絵をよく見てください。
アテネ時代の有名な哲学者たちがいっぱいオールスターそろいぶみですから。
一番真ん中に立ち、しげしげと意見を交わしあっている二人はプラトンとアリストテレスです。
この絵にはほかにもピタゴラスやソクラテスもおります。
どれがだれなのか調べてみると面白いですよ。
レオ10世の肖像
ローマ教皇庁の最奥。
権力の頂点です。
私たち市民からは一番遠いところです。
権力というものはあまりに多くの責任を背負っています。
そのため、肖像は複雑です。
このレオ10世の先代はユリウス2世。
度重なる戦争を起こし、力づくでも教皇庁のブランドを押し上げようとした人です。
しかし、レオ10世は“より平和に”という人々の声を受けて後を継ぎました。
ラファエロはユリウス2世の肖像画の傑作も残しております。
それぞれの絵を見比べてみるとまた、興味深く味わえます。
きょうのまとめ
こう眺めているだけでその画風がドンドン移り変わってゆくのがわかっていただけたはず。
ラファエロは37才とあまりに若くして亡くなったのが惜しまれます。
① ラファエロの聖母子画は親しみやすく生に満ちあふれている
② ラファエロの『アテネの学堂』はギリシャ時代の哲学者オールスターそろいぶみ
③ ラファエロの教皇肖像画では権力の頂点にある人間の複雑な表情が読み取れる
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