あなたは“カール大帝賞”って知ってます?
第二次世界大戦後、ヨーロッパ統一になみなみならぬ功績を果たした人におくられる賞です。
イギリスのウィンストン・チャーチル元首相や最近でも各国の有名な大統領などが選ばれております。
ヨーロッパっていっぱいの国に分かれてますよね。
でも、みんなどこか文化が似ててるところがありますよね。
じゃあ、そんなバラエティに富んだヨーロッパ人の根っこにある“同じヨーロッパ人”意識というのはどの辺から出来上がったのか。
その超キー・パーソン“カール大帝”を紹介します。
カール大帝はどのようにそれまでバラバラだったヨーロッパ人を“ひとつのヨーロッパ意識”に変えていったのでしょう。
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カール大帝はどんな人
- 出身地:ベルギーのエルスタルが有力
- 生年月日:742年4月2日
- 死亡年月日:814年1月28日(享年71才)
- フランク王国国王。西ヨーロッパ社会形成に大きく貢献
カール大帝の年表
742年(0才)カール大帝生まれる
751年(9才)父ピピン3世がカロリング朝を興す
768年(26才)ピピン3世亡くなり、王国は息子のカール大帝とカールマンに二分割相続される
771年(29才)カールマン亡くなり、カール大帝がフランク王国全土を統治
778年(36才)カール大帝の軍がバスク人に退路をおそわれる。「ローランの歌」のモデル。
789年(46才)カール大帝が『一般訓令』を発布
800年(58才)カールの戴冠
802年(60才)カール大帝とビザンツ帝国女帝イレーネによる結婚の話が提案される
814年(71才)カール大帝死去
カロリング朝誕生
カール大帝はメロヴィング朝フランク王国宮宰(※)ピピン3世の長男として生まれました。
このころすでにメロヴィング朝の国王は名ばかりとなってしまっております。
実質はピピン3世がにぎっていたのです。
そして751年、ピピン3世はとうとう自分が国王になってしまいます。
メロヴィング朝滅亡。
カロリング朝フランク王国の誕生です。
(※)宮廷のリーダー
カール大帝、王国を引き継ぐ
カール大帝が26才の時、父ピピン3世は亡くなります。
王国はカール大帝と弟カールマンによる分割統治。
この兄弟の間はとても仲が悪いものでした。
しかし、カールマンが早くに亡くなり、王国はどうにか平穏にカール大帝一人による支配に移ってゆきました。
関連記事 >>>> 「カール大帝の先祖と子孫~カロリング朝フランク王国の盛衰~」
『ローランの歌』
カール大帝の人生は戦争に次ぐ戦争です。
北のザクセン人、東のバイエルン、アヴァール人、イタリアのランゴバルド、スペインのイスラム教勢力など。
なにせ当時のヨーロッパはたくさんの宗教と民族がひしめき合っております。
中でも有名な戦闘が778年スペイン遠征における退却戦。
バスク人に退路をおそわれ、あやういところを甥(おい)のローランの決死の奮戦にどうにか助けられました。
しかし、ローランは自部隊全滅とともに戦死。
その壮絶な最後は物語『ローランの歌』としてその後のヨーロッパ世界でずっと長きにわたり語り継がれてゆくこととなります。
関連記事 >>>> 「カール大帝にまつわる“伝説の勇者”ローランとは」
カロリング・ルネッサンス
カール大帝はキリスト教にものすごく熱心です。
789年には『一般訓令』を発布。
これは日本の聖徳太子が出した『十七条憲法』と性質が似ております。
『十七条憲法』は仏教による国家統治を目指します。
『一般訓令』はキリスト教による国家統治です。
そして、カール大帝はキリスト教をもっとしっかりと人々に根付かせるため王国内の“教育”に力を入れます。
みんな聖書などをちゃんとわかるようにならなければなりません。
なので、文章の読み書きや歌・計算などを奨励しました。
こうして、カール大帝の時代は学問が盛んになり、のちに“カロリング・ルネッサンス”と呼ばれるようになります。
カールの戴冠
800年、カール大帝はローマ教皇によって「西ローマ帝国」の皇帝に認められ、冠をさずけられます。
カールの戴冠です。
こうしてカール大帝は「全ヨーロッパにおけるキリスト教全体を守る者」としてのブランドを手に入れたのです。
カール大帝亡き後、ヨーロッパのかなり広きにおよんだ王国は散り散りになってゆきます。
しかし、その後長きにわたりヨーロッパ社会を根っこで一つにしたのは「キリスト教」。
このへんも聖徳太子とちょっと似ておりますね。
きょうのまとめ
① カール大帝の人生は戦争に次ぐ戦争
② カール大帝はキリスト教にとても熱心
③ カール大帝の生前の行いは統一的な“ヨーロッパ社会”の形成に大きな役割を果たしている
こうした“統一事業”によって得ることができたものと失われたものがあります。
それらはどんなものかを考えるのも歴史の意義だと思います。
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