宣教師シドッチと幕府要人新井白石の出会い

 

江戸時代、「 鎖国 」の真只中、あえて危険を承知で日本にカトリックの布教に来たイタリア人宣教師がおりました。

その名をジョヴァンニ・バッティスタ・シドッチといいます。

彼は日本における宣教師や吉利支丹(きりしたん)(カトリック教徒のこと)の苛酷(かれつ)な迫害の様子を知り、いてもたってもいられなくなったようです。

日本で捕らえられますが、当時幕府の政治を取り仕切っていた新井白石(あらいはくせき)との面会がかない、二人はほとんど言語もわからぬままやりとりし、互いに認め合ったようです。

西洋世界の使命の宗教家と極東の政治的英雄、両者の触れ合いとは一体どんなものだったのでしょうか。

シドッチの生い立ち

ジョヴァンニ・バッティスタ・シドッチはイタリア、シチリア島の貴族の出身。

カトリック宣教師として日本へ渡来。

当時幕府要人新井白石との交流は有名。

その後、幽閉。

やがて、そこで衰弱死する。

新井白石・シドッチに関する年表

新井白石とシドッチ

1639年 江戸幕府による鎖国完成

1657年(白石0才)新井白石生まれる

1668年(白石11才.シドッチ0才)シドッチ生まれる

1708年(白石51才.シドッチ40才)シドッチ日本の屋久島に到着

1709年(白石52才.シドッチ41才)シドッチ江戸に護送され、新井白石による直接尋問

1714年(白石57才.シドッチ46才)シドッチ幽閉先で衰弱死

1725年(白石68才)新井白石死亡

シドッチ、日本に来る

シドッチは日本に来る前、フィリピンのマニラで4年間宣教師をやっておりましたが、ここで日本におけるカトリック迫害の様子を知ったようです。

周りは反対いたしましたが、シドッチの決意は揺るぎません。

こうしてシドッチのためだけの船を造ってもらい、日本へと旅立ちます。

最初についたのは屋久島

髪は月代(さかやき)、いわゆる侍頭ですね。

和服、腰には刀。

と凝った変装をして入ってきますが、そりゃ怪しまれますよね。

言葉も通じませんし、即御用(そくごよう)!

役人に引っ立てられます!

すぐ、長崎に送られて、それでも「 江戸に行きたい 」と言っていると、願い通じて江戸に送られます。

しかも当時幕府を切り盛りしていた新井白石が直接会い(尋問し)に来てくれたのです。

新井白石とシドッチ

シドッチと白石は語り合います。

シドッチの日本語はたどたどしく、白石もオランダ語ならしゃべれますがという程度。

あとは身ぶり手ぶりと筆談でやっとこさっとこお互いにコミュニケーション。

白石は後に、

鎖国がなって何十年

なぜこんな時に危険を承知ではるばる日本にやってきたのか 」

の理由を白石の前の時代に行っていた「 貨幣改鋳(かへいかいちゅう) 」。

いわゆる「 金 」「 銀 」の混ぜる割合を減らしてインフレーションを招いた時の小判を見て、「 こりゃ国内があれてるぞ 」

とふんで、やってきたのではないかと見ております。

なんとも白石らしいですね。

本来なら、当時の法律でシドッチは死罪です。

ですが、当時白石は幕府にこんな提案を行います。

上策。本国送還(ほんごくそうかん) これは難しく見えるが簡単

中策。囚人(しゅうじん)として幽閉 これは簡単なようで実は難しい

下策。処刑 これは簡単なようで実際簡単

遠路はるばる命の危険を冒してまでやってきたシドッチのその並々ならぬ熱意、そして人がら。

苦労人であり才人でもある白石にも何か感じるものがあったのでしょうか。

そしてシドッチは・・・

結果幕府は『 中策 』を取り、シドッチは茗荷谷(みょうがだに)の切支丹屋敷へ幽閉されてしまいます。

そこにシドッチを監視し、世話をしていた長介、はるという老夫婦に出会います。

彼らは親が吉利支丹であったため処刑され、子供の頃からずっと切支丹屋敷で過ごしてこなければなりませんでした。

が、シドッチにあって感化されます。

「 やっぱり吉利支丹に戻りたい 」

こうして、シドッチは二人に洗礼を施し、三人ともども地下牢へ移され、シドッチは衰弱死してしまいます。

なお、その後のDNA鑑定でここから出てきた遺体の一人はシドッチ、一人は日本人、もう一人は不明とされております。

きょうのまとめ

やはり白石としてはシドッチを生かしたかったのかもしれませんが、これが時代の悲しさですね。

江戸時代と言えば中国・朝鮮・オランダ以外とはほぼ絶縁状態だったように言われますが、ひろってゆくと、ごく細々とではありますがこういう人と人のつながりがあったのです。

宗教、民族、言語、そういったものを越えたつながりというのは私たちになにか可能性のようなものを示してくれます。










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