直江兼続と前田慶次 二人の友情

 

上杉家第一の家老にして、政治、軍略共に家中随一の実力を誇った「義将」

直江兼続なおえかねつぐ

様々な奇行や粋な行いで、戦国一の「傾奇者」として名高い

前田慶次

上杉家中においての二人の関係は筆頭家老と客将であり、

身分にかなり差があったにもかかわらず、深い友情で結ばれていたといいます。

義将と傾奇者、この二人はどのようにして出会い、どのようにして友情を育んだのでしょうか?

今回は直江兼続と前田慶次の関係について詳しく解説していきます。

どうぞ最後までお読みください。

 

兼続と慶次の出会い

直江兼続

直江兼続
出典:Wikipedia

残念ながら、直江兼続と前田慶次の出会いに関する明確な時期はわかっていません。

前田慶次は前田家に仕えていた時代から自らを「似生じせい」と雅号(人・画家・書家などが、本名以外につける風雅な名のこと)を用いて、連歌会れんがかいたびたび開いていたと伝えられています。

この連歌会には戦国武将の中でも文化人として名高い細川幽斎ほそかわゆうさいが参加していたという記録も残っており、当時の一流歌人が集まる大がかりなイベントだったようです。

一説によるとこの

「連歌会がきっかけとなって、兼続と慶次は出会い、友人関係になったのではないか」

と言われています。

また別の説では、

「慶次が前田家を出奔し、上杉家に仕えるようになってから出会ったのではないか」

とも言われてします。

前田慶次については本人が残した日記である「前田慶次道中日記」が、米沢図書館に現存しています。

その内容は本人が詠んだ俳句や和歌がちりばめられつつ、旅の途中で起こった出来事が詳しく書き残されているというもので、彼の教養の高さが伺い知れる貴重な史料となっています。

この日記は慶長6年(1601年)10月15日から11月19日までの京から米沢までの旅路の途中で綴られており、

兼続と共に最上家と戦った後、慶次が京から米沢へと戻っている道中の日記なので、

この時期にはすでに兼続と交流を持っていたと考えられます。

 

慶次、兼続を諌める

まえだとします

前田慶次(落合芳幾画)
出典:Wikipedia

関ヶ原の戦い

石田三成率いる西軍と、徳川家康率いる東軍の間で関ヶ原の戦いが起こると、

兼続と慶次は西軍側についた上杉家に従い、東軍側についた最上家の軍勢と合戦を繰り広げました。

最上領に侵攻し、数々の城を攻め落としていく兼続と慶次。

兼続は最上家の本拠地、山形城からわずか8キロ程の位置にある長谷堂城を1万8000の大群で包囲します。

ここを落とせば山形城を攻めることができる。

兼続は激しい力攻めを行い、長谷堂城を攻撃します。

しかし、長谷堂城主である志村光安の頑強な抵抗に兼続と慶次は苦戦。

西軍の大敗

そして、長谷堂城を攻めている間に関ヶ原の戦いが終わってしまいます。

結果は石田三成率いる西軍の大敗

兼続は三成とも親交を深めていて、最上領を攻め落とした後、三成と協力して家康を挟み撃ちする計画を立てていたとも言われています。

しかし、この計画も全て水の泡となってしまいます。

西軍が敗北した以上、これ以上戦を続けていても仕方ありません。

兼続は、「上杉家をこのような状況に置いてしまったのは自分だ」という責任から

自害しようとします。

しかし自害しようとした兼続を慶次はいさ、上杉家のために生き続けることを決心した兼続は、軍を引き返して撤退することを決意します。

この撤退戦では兼続自ら殿しんがりを務め、慶次は槍を振るって天下無双の傾奇者にふさわしい働きをし、最上軍を手玉に取ったと伝えられています。

 

二人のその後

上杉家は関ヶ原の戦いの後、会津120万石から米沢30万石へと減移封されてしまいます。

兼続と慶次もこれに従い米沢に移り、兼続は水田の開発を進め、米沢の内政を充実させます。

一方慶次は、小さな庵に居を構え、領民と触れ合いながら、のんびりと生活したと伝わっています。

この庵には兼続も度々訪れていたようで慶次と兼続は終生交流を続けていたそうです。

 

きょうのまとめ

いかがでしたでしょうか。

慶次が兼続の自害を止めていなければその後、上杉家は兼続を失って滅んでいたかもしれません。

共に命を懸けて戦った戦友である二人の友情は、漫画「花の慶次」にも取り上げられ、大きな支持を得ています。

直江兼続については他にも様々な記事を書いています。

興味のある方は是非ご覧になってください。

 
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