米国民を感動させたマッカーサーの退任演説とは…日本も称賛?

 

連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の総司令官として太平洋戦争後の日本を統治した元帥げんすい

ダグラス・マッカーサー

1951年に退任を命じられた際の彼の演説は、アメリカ国民を感動の渦に巻き込んだとして史上に刻まれています。

そしてマッカーサーの演説は何を隠そう、当時の日本国民からも強く支持されました。

のちに失脚の道を辿る彼の演説がなぜそこまで反響を呼んだのか、その内容と当時の背景を辿っていきましょう。

 

マッカーサー退任の経緯は?

マッカーサー
出典:Wikipedia

太平洋戦争でアメリカに勝利をもたらし、のちの日本統治でも成果を上げていたマッカーサーが急に退任を迫られたのは、1950年に勃発した朝鮮戦争がきっかけです。

朝鮮戦争は北朝鮮と韓国による南北の戦争で、アメリカ率いる国連軍は韓国側の援護に回りました。

一方、北朝鮮側には中国共産党が味方し、戦争に介入してきます。

これに対して国連軍最高司令官を務めたマッカーサーは、中国本土を攻撃するべきだと考えたのですが、これが第33代アメリカ大統領・トルーマンの意向と対立することに。

トルーマン大統領は中国を攻撃することで、さらに大きな戦争に発展しかねないと懸念したわけです。

こうした経緯から、マッカーサーはそれまでの功績も関係なく、国連軍総司令官、ならびにGHQ総司令官の座を退任させられることになりました。

 

マッカーサーが行った演説の内容は?

マッカーサーの演説は約40分に渡る長いものでした。

簡単にまとめると以下のような内容です。

・今回の争点は党派がどうのではなく、どうすることがアメリカのためになるかで考えなければならない

・現在のアジアの情勢

・朝鮮戦争にて、中国の介入によって苦戦を強いられた経緯

・中国への攻撃に関してマッカーサーが考えていたこと

トルーマン大統領の方針は中国を刺激せず、とにかく自陣を守りきることでした。

しかしマッカーサーはこの演説で、トルーマンの方針を

マッカーサー
「戦争を長引かせ、多くの被害を生んでしまう」

「中国を徹底的に攻撃することが早期解決の糸口」

と持論を述べました。

このあとの史実を辿ると、結果的に中国を攻撃しなくてよかった…となるわけで、今となっては彼の考えが優れていたとはいえません。

しかしこのときのマッカーサーは、太平洋戦争を制し、日本を統治した事実から、アメリカ国民のスターでした。

その背景も手伝って、この演説は大きな反響を呼んだわけですね。

日本を称賛する箇所も

マッカーサーの演説の一部には、日本を称賛する箇所もありました。

今や日本は、政治的にも、経済的にも、そして社会的にも、地球上の多くの自由な国々と肩を並べています。世界の信頼を裏切るようなことは2度とない でしょう。

(中略)

日本ほど穏 やかで秩序正しく、勤勉な国を知りません。また、人類の進歩に対して将来、積極的に貢献することがこれほど大きく期待できる国もほかに知りません。

(出典:https://americancenterjapan.com/aboutusa/translations/2378/

日本国民に支持されたのはこの部分です。

GHQは日本が海外へ侵攻しようとした経緯から、その軍事性を改めるため約7年間、日本を統治していました。

マッカーサーはその最高司令官を務めるかたわら、方針が改められると見る見る改善されていく、日本の国民性に感動を覚えていたようです。

日本国民としても占領されていたとはいえ、マッカーサーの統治は民主主義国家の基礎を作ったと評価が高く、退任時の人気はまさに絶頂を迎えていました。

帰国の際も空港には25万人もが見送りに押し寄せたのだとか。

それだけ人気なうえ、演説でも称賛されれば、日本国民からも多大に支持されるわけです。

「老兵は死なず。ただ消え去るのみ」という名言

演説の締めくくり部分、マッカーサーはこんな名言を残します。

老兵は死なず。ただ消え去るのみ

(出典:https://americancenterjapan.com/aboutusa/translations/2378/

これは兵隊歌『Old Soldiers Never Die』の一節で、マッカーサーは士官学校時代、同志たちとよくこの歌を歌っていたとのこと。

解釈にもよるでしょうが、これは

「自分は退任させられても、この意志は受け継がれていく」

という意味にも取れます。

つまり演説を聞いている人たちに対する

「私の意志をしっかり受け継いでいってくれ」

というメッセージだったのではないでしょうか。

これを受けて、マッカーサー推しだったアメリカ国民や日本国民は熱狂せずにはいられません。

ファンだったら、「うおお!俺はマッカーサーのこと忘れないぜ!」ってなりますよね。

ただ、このあと次期大統領になろうとする狙いがあまりに露骨だったため、すぐに人気は失速してしまうのですが…。

 

きょうのまとめ

マッカーサーが退任させられた朝鮮戦争の一件に関しては、結果的には彼が間違っていたとも捉えられます。

しかし当時アメリカ国民から多大に支持されていたことや、日本を民主主義に導いた功績は消えません。

最後に今回のまとめです。

① マッカーサーはそれまでの功績から人気を博していたため、退任演説も高く評価された。

② 演説内では日本統治を通して、日本人の勤勉な国民性に感動したことも述べられた。

③ 「老兵は死なず。ただ消え去るのみ」は「私の意志をしっかり受け継いでいってくれ」というメッセージ?

その後の経緯などはさまざまあっても、当時多くの人が感動したことに変わりはありません。

やはりマッカーサーの退任演説は、名演説として語り継がれてしかるべきなのでしょう。

目次に戻る ▶▶

 

その他の世界の偉人ははこちらから

関連記事 >>>> 「世界の偉人一覧」

 










合わせて読みたい記事



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

one × 2 =