“ヨーロッパの父”とよばれ、中世ヨーロッパ社会を形作るのにとても大きな役割を果たした
カール大帝
では、いったいどういった流れでカール大帝の治世になり、その後、さらにどういった風に時代が移り変わっていったのかが気になるところ。
カール大帝の祖先と子孫をたどると、わかりやすくなります。
動乱の西ヨーロッパ中世の世界へいざ!
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メロヴィング朝フランク王国の成立
まず、ゲルマン人を知っておりますか。
たとえば、ドイツのつづりはGerman。
英語では「ジャーマン」と習うけれど、「ゲルマン」って読めません?
今でもドイツサッカーで「ゲルマン魂」なんていいます。
1世紀後半から“ゲルマン民族の大移動”というのがあって、ヨーロッパの東の方から西の各地にゲルマン系のいろんな部族が移動してきます。
そんな中で西ヨーロッパに土着したのがフランク族。
やがて、クロヴィス1世という小さな国の王様がすべてのフランクを統一してフランク王国を完成させました。
これをメロヴィング朝フランク王国といいます。
カロリング朝興る
しかし、このメロヴィング朝の中で力をつけてきた勢力があります。
宮宰といいまして、宮廷のリーダーです。
それを代々うけおっていたのが、カロリング家。
732年には宮宰のカール・マルテルがトゥール・ポワティエ間の戦いでイスラム系ウマイヤ朝の軍を撃破。
覚えておいてください。
このころはイスラム系の勢力がとても強くて、アラブや北アフリカだけでなく、ヨーロッパでは今のスペインのあたりまで支配しておりました。
ヨーロッパのキリスト教勢力は彼らに対抗するのに必死だったのです。
さらにカール・マルテルの子のピピン3世がとうとうメロヴィング朝から王権を取り上げて、あらたにカロリング朝を築き上げてしまいました。
そのピピン3世の子がカール大帝です。
カール大帝の後継者
さて、カール大帝は5回も結婚し、第2夫人も4人おります。
子どもは知られているだけで約20人。
カール大帝はフランク族の伝統で、領土をカール・ピピン・ルードヴィヒの三人に分けて相続しました。
しかし、カールとピピンが早くに亡くなり、結果としてルードヴィヒが全フランクの王となります。
骨肉の同族争い始まる
さて、このルードヴィヒにもたくさん子どもがいるのですが、ここである問題が起こってしまいます。
実は、ルードヴィヒのお兄さんピピンには残された子がおりまして、ベルンハルトと言います。
用は、ルードヴィヒとその子どもたちがベルンハルトに相続をあげなくしてしまったのですね。
ベルンハルトは「そりゃねえだろ!」てなもんで反旗をひるがえします。
しかし、あえなく鎮圧されてしまい、目をくりぬかれてしまいました。
ベルンハルトは間もなく亡くなります。
相続争いもっとややこしく!
さて、これで一件落着でないのが相続争いのむずかしさ。
中国の偉大な思想家老子は
「へんに財産を残すと、相続争いが起こるだけだ」
なんて言っておりますが……。
今度はルードヴィヒが側室の子どものシャルルにも「相続権を与えるんだもん」と言いだします。
すると、ルードヴィヒと正室の子でシャルルの一番上のお兄さんロタール1世が怒り出します。
「あのオヤジと弟シャルルを引きずりおろせ!」
はてさて、ロタール1世には実弟のピピンやルードヴィヒ2世がおり、お父さんルードヴィヒとシャルルも交えて相続争いはドンドンしっちゃかめっちゃかになってゆきます。
フランク王国分裂とその後
結局、
●ロタール1世が中フランク
●ルードヴィヒ1世が東フランク
●シャルルが西フランク
を領有することになり、カール大帝が築き上げた大帝国はたった3代で大分裂のうきめに。
●中フランクはその後もさらに細かく分裂。
●東フランクは直系の統治が911年まで。
●西フランクは987年に血統が絶えてお家断絶。
親戚のカペー朝が継いで“フランス王国”と呼ばれるようになりました。
☆ちなみに目をくりぬかれたベルンハルトの子孫はヴェルマンドワ伯家として12世紀末まで存続してゆきます。
きょうのまとめ
つわものどもが夢の跡。
あの“ヨーロッパの父”カール大帝でもってしても、その一族の繁栄とはあまりにはかないものでした。
カール大帝は生前
「兄弟間の連帯こそが大切だ」
と残しておりました。
自分の子どもの代まではなんとかもったのですが、孫の代で……。
人の世とはなかなかままならぬものですね。
① カール大帝の父ピピン3世がメロヴィング朝から王権を奪い、カロリング朝が開かれた
② カール大帝の子どもの代までは相続がすんなりいった
③ カール大帝の孫の代になって相続争いが一気にこんがらがり、フランク王国は分裂した
でも、カール大帝にはしっかりと根強く残したものがありますよ。
ローマカトリック教会。
今や世界中たくさんの人に信奉されております。
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