1868年3月、
高輪(たかなわ。現在の東京都港区)にあった薩摩下屋敷にて、
重要な会談が行われました。
旧幕府側は
勝海舟が、
新政府側は西郷隆盛が代表となり、
新政府による江戸城攻撃を中止するという決断を下したのです。
これにより、江戸が戦火に包まれることは避けられました。
今回は1868年のいわゆる「江戸城無血開城」について、
簡単にご紹介していきます。
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旧幕府軍を倒せ!西郷隆盛の陰謀
江戸幕府最後の将軍
江戸幕府最後の将軍・徳川慶喜は、
1867年の大政奉還で「政権」を朝廷へ返上しました。
しかし、その後も内大臣という「官位」と多くの「領地」を保有していたのです。
朝廷の領地がわずか10万石に過ぎなかった当時、幕府の領地は400万石もあったそうです。
これでは新政府の財政は成り立ちません。
そこで新政府側は、慶喜に「辞官納地」すなわち官位を退き、領地を返上させることを命じました。
慶喜側は、これをすんなりと受け入れるはずはありません。
しかし慶喜は、表向きでは新政府に従いつつも、
辞官納地の命に対する回答をうやむやにしていました。
真正面から旧幕府軍を倒したい西郷隆盛でしたが、これでは何の攻撃もできません。
西郷の挑発
そこで西郷は、雇った浪人たちに江戸で乱暴を働かせ、
旧幕府軍を挑発することにしました。
それを受け、旧幕府軍側には「打倒薩摩」のムードが一気に高まることとなりました。
1868年1月、ついに慶喜は新政府軍との戦いに踏み切ります。
これが京都で起こった、鳥羽・伏見の戦いです。
薩長を主力とする新政府軍の数は5千、これに対して旧幕府軍は1万5千と兵数では圧倒的に有利に見えました。
しかし西洋式の訓練を受け、新しい兵器を装備していた新政府軍には及びませんでした。
さらに、新政府軍に「錦旗(官軍のしるしとして用いられた旗)」が掲げられてしまいました。
この瞬間、新政府軍が官軍、旧幕府軍は賊軍となってしまったのです。
旧幕府軍の士気は下がり、結局は大将であった慶喜は江戸へ逃げかえることとなってしまいました。
江戸城無血開城のストーリー
慶喜が江戸へ向かった翌日、朝廷は慶喜追討令を出しました。
これを受け、新政府軍は江戸へ向かいます。
慶喜は謝罪し、新政府に従うことを表明しました。
さらに上野の寛永寺に蟄居しましたが、新政府側は江戸城を攻撃するという姿勢を崩しませんでした。
そこで幕臣であった勝海舟は、攻め上がってきた新政府軍の参謀・西郷隆盛との会談を行うこととなったのです。
勝海舟は西郷隆盛をちゃんと脅していた
その会談で勝海舟は西郷に対して、江戸城をすんなりと明け渡すことを提案しました。
これを西郷も受け入れ、江戸城への攻撃は中止となりました。
新政府側がもしこの提案を拒否していたら、
兵士だけでなく、多くの江戸の市民の命まで失われていたことでしょう。
結果として慶喜の隠居などを条件に、平和的に解決されました。
ただ、勝海舟はこの案がうまくいかなかった場合のシナリオも、もちろん考えていました。
江戸の住民たちを避難させ、新政府軍を焼き討ちする準備もしていたのです。
町火消(町人たちによる消防の組織)にも堂々と相談し、
旧幕府側にも準備があることを西郷たちにわかるように動いていたのです。
さらに海舟は、薩長に近い関係にあったイギリスにも働きかけており、
イギリス公使・パークスは新政府に対し、江戸城を攻撃するなら徳川方につくということを伝えたといいます。
平和的解決が図られた開城でしたが、
どうやら大人の駆け引きがあったようですね。
西郷隆盛を感動させた山岡鉄舟
江戸城無血開城に尽力した人物として、
忘れて欲しくないのが山岡鉄舟です。
鉄舟は
「幕末の三舟」
とも称される人物です。
江戸城攻撃の予定日6日前、鉄舟は単身敵地に乗り込み、西郷隆盛に面会を求めました。
そして勝海舟からの書簡を手渡し、西郷と鉄舟は無血開城について激論を交わします。
その結果、西郷が鉄舟の誠意に感動し、それが江戸城無血開城へと繋がったそうです。
西郷は鉄舟のことを、このような言葉で賞賛しています。
この言葉から、鉄舟の偉大さをわかっていただけると思います。
きょうのまとめ
今回は江戸無血開城について、簡単にご紹介しました。
江戸城無血開城は、
① 西郷隆盛と勝海舟の会談で決まった
② 実現できない場合の根回しはしっかりとされていた
③ 裏に山岡鉄舟という功労者がいた
と言えます。
東京・JR田町駅の西口を出て徒歩2分、
「 江戸開城 西郷南洲 勝海舟 会見之地 」と書かれた石碑が建てられています。
都会らしいビルの立ち並ぶ一角に、いきなり現れるので驚きますよ。
近くまで来た方は、ぜひ一度訪れてみてください!
地味ですが、歴史ファンなら感動するスポットです。
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そのような人でなければ天下の偉業は成し遂げられない