サラディンの鷲ってなに?どんな意味?国旗と歴史は関係が深いよ

 

今のエジプト国旗を知ってますか。

赤・白・黒の横三色。

そして、白地の真ん中に金色のマークが描かれております。

このマーク、どんなデザインか知ってますか。

(ワシ)です。

直立した誇り高い鷲。

これを“サラディンの鷲”といいます。

実は“サラディンの鷲”をマークに使っている国はほかにもたくさんあります。

いったいどんな国が。

そして、そこに秘められた20世紀から今にいたる歴史ってどんなものなのでしょう。

 

“サラディンの鷲”はいつから?

“サラディンの鷲”は12世紀アラブの英雄サラディン実際に使っていたマークです。

サラディンというのは日本ではあまりなじみがありませんが、アラブや欧米ではものすごいカリスマです。

というのも、

① 十字軍が百年前に占領したままになっていたエルサレムを奪い返しました。

② 何回も繰り返された十字軍の中でも特にオールスター級といわれた第3次十字軍が攻めてきたのを追い返しました。

③ 敵であったはずの十字軍側に、とても心の広い対応をしました。捕虜を解放するだけでなく、その中で困っている人たちにお金をはらってあげる、など。

 

エジプト革命

20世紀中盤になると、ある国で民族運動が高まってきます。

そう、エジプトです。

当時、エジプトは形の上では独立しておりました。

ところが、事実上はあるよその国がとっても力を持っておりました。

当時は帝国主義まっさかり。

イギリスです。

「イギリスの言いなりをなんとかしたい」

ということで1952年ついにクーデター(武力を使って政権を替えること)が起こります。

 

“汎アラブ主義”とは

新しいエジプトで力を持った人がナーセルです。

ナーセルはクーデターを起こした組織の幹部でした。

ナーセルの目指す思想は“汎(はん)アラブ主義”です。

“汎”ってどういう意味なのでしょう。

簡単に言うと“オール”です。

そして、“汎アラブ主義”は当時世界ではやっていた社会主義を目指します。

でもここはアラブ。

そのままではなじまないのでアラブならではの社会主義を目指すのです。

“オール・アラブ”一丸となって。

 

“サラディンの鷲”は“汎アラブ主義”のシンボル

ナーセルが「いっしょに新しい国を造ろうぜ」とよびかけところ、ある一つの国が「私も」と手を挙げました。

シリアです。

こうして1958年、両国は連合して「アラブ連合共和国」を結成。

この時、この国の国章(国のマーク)として使用され始めたのが“サラディンの鷲”です。

この連合国家は結成から3年後に解体します。

しかし、“汎アラブ主義”の影響を受けたたくさんがこのマークを使用しております。

つまり、“サラディンの鷲”とは“汎アラブ主義”のシンボルなのです。

これらが“サラディンの鷲”を使用。

●かつての北イエメン、南イエメン、リビア

●今のエジプト、イラク、パレスチナ

そして、実はこれらにはみんな“汎アラブ主義”の影響を受けたほか、主にあと2つの共通点が見当たります。

なんだと思いますか。

ヒント、まず、その場所です。

どこもアラブにありますね。

それだけじゃありません。

“サラディンの鷲”ですよ。

国王であったサラディンの治めた国アイユーブ朝

① この最盛期の領土であったところとどこもちょうど重なります。

では、2つ目。

これらのほとんどは近現代に列強と言われたある国々から独立しております。

2つあります。

② ヨーロッパにあるイギリスとフランスです。

 

きょうのまとめ

それぞれの国の国旗やマークというのはその国の歴史や考え方をよく表しております。

なので、国旗やマークを研究するだけで今まで知らなかったとても興味深いことや大事なことが見えてきます。

実は私、以前かなりたくさんの国々の国旗や国章について調べたことがあります。

はっきり言います。

かなり勉強になります。

たとえば、カナダの国旗の葉っぱはなんの葉っぱでしょう。

そして、このマークなのはなぜでしょう。

実はやっぱり深い事情がかくされているのです。

国旗と歴史、政治、地理はものすごく密接ですよ。

① “サラディンの鷲”のマークをサラディンは本当に使っていた

② “サラディンの鷲”は“汎アラブ主義”のシンボル・マーク

③ 国旗にはそれぞれの国の歴史や考えが深く託されている

上の答え。

カナダの葉っぱはカエデ。

カナダが冬がとても厳しいです。

むかしは冬になると食べ物がとても不足しました。

そこで、カエデの樹液、いわゆるメイプルシロップをすすってしのいだのです。

カナダ人たちの今もさらされる厳しい自然、そしてむかしの人たちへの感謝・尊敬、さらには「今もがんばって生きるんだ」という心意気が感じられます。

 
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