尾高平九郎とはどんな人物?簡単に説明【完全版まとめ】

 

大河ドラマ『青天を衝け』において、渋沢栄一の親族として頻繁に登場する尾高家。

長男の惇忠や、次男の長七郎はもちろんのこと、

岡田健史さん演じる尾高平九郎おだかへいくろうの活躍にも期待が高まります。

なんといっても、平九郎は栄一の養子となり、一時とはいえ、渋沢家の後継者とされていた人物。

どんな人だったのか、非常に気になるところです。

案の定、栄一が見初めるのも納得のいく、才気あふれる青年だったという話ですよ!

今回はそんな尾高平九郎の生涯に迫ります。

 

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尾高平九郎はどんな人?

プロフィール
  • 出身地:武蔵国榛沢郡下手計はんざわぐんしもたばか村(現・埼玉県深谷市下手計)
  • 生年月日:1847年12月24日
  • 死亡年月日:1868年7月12日(享年22歳)
  • 渋沢栄一の親族・尾高家の三男。栄一のパリ万博派遣をきっかけに渋沢家の養子となる。戊辰戦争で新政府軍と戦った。

 

尾高平九郎 年表

年表

西暦(年齢)

1847年(1歳)武蔵国榛沢郡下手計はんざわぐんしもたばか村(現・埼玉県深谷市下手計)にて、豪農・尾高勝五郎の三男として生まれる。

1856年(10歳)神道無念流の剣術を学び始める。

1867年(21歳)渋沢栄一の養子となり、武士の道へ。

1868年(22歳)戊辰戦争にて、彰義隊しょうぎたい振武軍しんぶぐんの参謀として新政府軍と戦う。敗戦後の逃走中、越生おごせ黒山村にて自決。

 

尾高平九郎の生涯

ここからは尾高平九郎について、生い立ちからその最期まで、具体的なエピソードを辿っていきます。

名主・尾高家にて育つ

尾高平九郎は、1847年、現在の埼玉県深谷市にある下手計しもたばか村の名主・尾高勝五郎の三男として生まれました。

尾高家は菜種油や、染料に使う藍玉などの製造、販売を行う豪農。

長男には、渋沢栄一に漢学などを教えた尾高惇忠、

次男には「北武蔵の天狗」と呼ばれ、剣客として無類の腕を誇った尾高長七郎

という、非常に有望な子息たちをもつ家庭でした。

また、渋沢栄一の妻となる尾高千代は三女にあたり、平九郎のお姉さん。

母やへが栄一の父、市郎右衛門の姉であるため、全員が栄一と従兄弟の関係になります。

そんな尾高家で生まれ育った平九郎は、やはり兄たちの影響をバッチリ受けていた様子。

7、8歳のころより学問に励み、10歳になると惇忠や長七郎も修養に励んだ、神道無念流の剣術を学ぶようになります。

特に剣術には才能があり、19歳のころにはすでに師範クラスの腕前を身につけていたといいますよ。

兄惇忠いわく、平九郎は身体が大きく腕力が強かったといい、そもそも武芸に向いていたのでしょう。

渋沢栄一の養子となる


1867年になると、幕臣になっていた渋沢栄一は、将軍名代・徳川昭武あきたけに随行する形で、パリ万博へ派遣されます。

ここで栄一が懸念したのは、自分に万が一のことがあったとして、国内に跡取りを残していないことでした。

そこで、妻千代に手紙を出し、平九郎を養子に迎えたい旨を伝えるのです。

農民の出ながら、剣術にも学問にも長けた平九郎なら、幕臣の跡取りとしても申し分ないと考えたのでしょうね。

こうして、平九郎は渋沢栄一の養子となり、渋沢平九郎と名乗るようになります。

ただ、ここで武士の道を選んだことが、平九郎にとっては運命の分かれ道となってしまうのです。

徳川慶喜の汚名返上をかけて戦う

徳川慶喜

1867年11月、将軍・徳川慶喜「大政奉還」を行い、政権を朝廷に返上しました。

続く1868年1月には「王政復古の大号令」によって、新政府が成立。

これまでの権限を手放すよう迫られた幕府は、一気に朝敵に仕立て上げられてしまいます。

平九郎は手紙で、徳川昭武や栄一の帰国を促しますが、

そうこうしているあいだに、「鳥羽伏見の戦い」に幕府軍が敗れ、徳川慶喜は謹慎の身に。

その汚名返上のためにと立ち上がったのが、旧幕臣からなる彰義隊しょうぎたいです。

彰義隊の頭領は、これまた渋沢栄一の従兄にあたる渋沢喜作。

平九郎はこの彰義隊にて参謀を任されることとなりました。

武士の道を歩み出したがゆえ、武家の絶体絶命のピンチに、その中核を担うこととなってしまったわけですね。

そして彰義隊は、政府軍との交戦を始める前に分裂することになります。

「慶喜公が江戸を離れた以上、江戸の町を戦火にさらすことはできない」

そう主張する渋沢喜作と、江戸での交戦を断固主張する副頭領・天野八郎が衝突したのです。

喜作率いる彰義隊の片割れは新たに振武軍しんぶぐんと名乗り、武蔵国飯能はんのう・能仁寺へと本陣を移すことに。

この振武軍でも、平九郎は引き続き参謀を務めています。

結局、江戸での戦いに敗れた彰義隊の残党が合流し、振武軍は1500人ほどの軍勢になりました。

しかし、諸藩を味方につけ、飯能へ攻め寄せた政府軍は3000人近い勢力になっており、

西洋銃などの近代武器も充実していたため、振武軍になすすべはなく…。

あっけなく敗れた旧幕臣たちは、思い思いに逃げ延びることとなります。

落ち延びた平九郎の末路

戦いに敗れた平九郎は、飯能から顔振かあぶり峠を越え、越生おごせの黒山村へと逃げ延びました。

ここで広島藩の追討に出くわし、危うく捕縛されてしまうところに。

しかし、なんと平九郎は追手の三人を一人で撃退

さすが武勇に長けているといわれるだけはあります。

さらに驚かされるのが、このとき平九郎は小刀しか持っていなかったということ。

相手は銃を持っていたというのに…。

るろうに剣心の世界じゃないですが、幕末の剣豪ってけっこう現実離れした強さだったんですね。

ところで、平九郎はなぜ、刀を持っていなかったのでしょう?

実は、峠の途中で立ち寄った茶屋の女主人に、

「刀を携えていては、残党だということがすぐにバレてしまいます」

とアドバイスされ、刀を預けていたのです。

のちにこのお店は「平九郎茶屋」と呼ばれるようになっていますよ。

ちなみにこの主人は、越生方面には政府軍の手が回っていることを知っており、平九郎に秩父方面への逃亡を勧めたといいます。

それでも平九郎は越生方面へ進むことをやめず、追討と交戦することになったのでした。

で、平九郎は、追討を退けはしたのですが…

銃で腿を撃ち抜かれたり、あちこち斬られたりで、結局、満身創痍に。

もはやこれまでと悟ったのか、その場で自刃することとなりました。

その際にもたれかかった大岩のかたわらには、グミの木が生えており、俗に「平九郎グミ」と呼ばれています。

これは真っ赤なグミの実が、命の色を表しているようだったため。

散り際の逸話の多さが、彼がいかに勇猛だったかを物語っています。

平九郎の遺体は、長い年月を経て一族のもとへ


自刃を遂げた平九郎の首は、駆け付けた追手により、晒しものにされてしまいます。

一方、残った胴体は、不憫に思った黒山村の人たちが全洞院というお寺に埋葬し、長らく首から上の病にご利益のある神様として祀られていました。

兄惇忠がこれを平九郎だと知ったのが、そこから10年後の話。

以降、墓所は台東区谷中へと移されることになります。

また、渋沢栄一は平九郎が自刃に使った小刀をずっと探しており、没後26年にして広島藩神機隊隊長・川合鱗三りんぞうが保管していると判明。

こちらも無事、栄一に引き取られることとなりました。

長い時間を経ても、一族によってきちんと弔われたことで、若くして亡くなった平九郎も少し報われたのではないでしょうか。

 

きょうのまとめ

兄の惇忠や長七郎に続き、大きな才能を有していた尾高平九郎。

渋沢栄一の養子となったことは、その運命を大きく変えてしまうことになりました。

しかし幕臣として最期まで戦ったことは、彼にとって少なからぬ誇りとなったはずです。

最後に今回のまとめ。

① 尾高家の三男として育った尾高平九郎は、大柄で力が強く、特に剣術に長けた青年だった。兄惇忠・長七郎と同じく、神道無念流を修める。

② 渋沢栄一がパリ万博へ派遣された際、国内に跡取りを残していないことを懸念し、平九郎を養子に迎えることにした。こうして平九郎は武士の子となる。

③ 戊辰戦争で徳川慶喜が朝敵とされ、旧幕臣たちは汚名返上のために彰義隊・振武軍を結成する。平九郎はその参謀として、新政府軍と戦った。敗走の末、追い込まれ自決にいたる。

④ 平九郎の遺体は死後10年経って親族のもとへ渡った。自刃に使った小刀も渋沢栄一が探し続けており、死後26年後に引き取られている。

なんといっても、散り際に政府軍の追討を退けた逸話にはインパクトがあります。

自ら命は断ったものの、勝負には圧勝しているわけですから。

尾高家は百姓の家系なのに、揃って武勇に長けているのがすごいですよね。

 
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