私たちの暮らす
日本とはどのようなものですか。
本居宣長はそのルーツを現存する日本最古のある古典に求めました。
『古事記』。
当時、『日本書紀』のおまけ程度に見られ、しかも、中身はひらがなもカタカナもなく
全部漢字による当て字ばかりでちんぷんかんぷん。
本居宣長はこれをかみくだき、解説する本を書き上げるのになんと
35年というまさに半生をささげて作り上げました。
その後根強く人々に支持され、歴史をも動かし、今なおもって高い評価を維持しております。
いったいなにが?
そして、そこから本居宣長が見た日本ってなに?
まいりましょう。
本居宣長渾身の大作。
『古事記伝』
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日本本来の道徳って?
本居宣長はもともと学問にとても熱心で、
特に儒学などの道徳的なものに興味がありました。
道徳と言ったら外国由来の儒学や仏教ばかり言うけど、日本には日本本来の道徳ってもんがあったでしょ!?
やがて、古道(日本ならではの道徳)とは?
それを知るなら日本の古典だろう、
といろいろと調べるようになっていったのです。
松坂の一夜
賀茂真淵の書いた本との出会いはショッキングだったようですね。
そして、宣長が自分の地元の伊勢(神居ます国三重県の大部分)松坂で憧れの真淵先生と初対面したその夜は
「松坂の一夜」
として、戦前の修身の教科書にも載っております。
宣長が
「わたし、古事記を研究してみようと思うのですが」
とたずねると、真淵は
「本当に日本の道徳が知りたいならそれはいいです。わたしは万葉集までしか調べることはできそうにありませんが、ぜひやってみなさい」
と答えたといわれております。
このあたりから宣長は
超大作
『古事記伝』
の執筆を始めます。
『古事記』とは
では、『古事記』とはそもそもどんな書物なのでしょう。
実は『古事記』の前までも古い日本の歴史を記した書物はいろいろとあったのですが、
あの乙巳の変(645年中大兄皇子らが蘇我本宗家を滅亡に追いやった事件)
の影響などにより、
その大半がなくなるか、残ってもあまりたよりにならないものばかりでした。
そこで、天武天皇が太安万侶らに命じて編纂させできあがったものです。
『日本書紀』
とよくセットであつかわれますが、
『古事記』は
・天皇家の正当性をアピール
・読みごたえのある物語風
であり、『日本書紀』は
・国家としての日本をアピール
・事務的な編年体(起こったことを年代順にまとめたもの)
両方ともに書かれている有名なエピソードとして
・大国主命(オオクニヌシノミコト)と国造り
・日本武尊(ヤマトタケルノミコト)による悲劇の遠征物語
などが挙げられます。
もちろんほかにも興味深い話は盛りだくさんです。
まだ神(自然)と人が入りまじり世をなしていたころ、
すなわち古代の雰囲気を存分に味わえます。
『古事記伝』編纂
宣長の時代まで『古事記』は、『日本書紀』のおまけのようなあつかいだったようです。
しかし、宣長はあえてそこにふみこみます。
いくつもの『古事記』の写本を読み比べ、
もっとも正しそうな訳文を厳正に導き出しました。
そして、その訳文は丁寧です。
そもそも『古事記』の書かれた当時はひらがなもカタカナもありません。
全部漢字、しかも当て字です。
それを宣長の時代の言葉に直し、
さらに、宣長なりの注釈をあちらこちらと付けております。
おかげでとっても読みやすくなりました!
こうして、人々が『古事記』に親しむようになったのですね!
宣長はこの編纂だけで35年。
さらに、全44巻を刊行し終えるのは没後20年あまりです。
しかし、この大作はいまだに
「古代史研究」
の基本テキストとして絶大な影響をおよぼし続けております。
『古事記』の示す古き日本の美しさとは
荒ぶる神々の躍動。
個性も情緒もとっても豊か。
やるせなく、はかなく、優しさにもあふれる。
多神教神話のなせるわざですね。
じゃあ、その道徳とは何かというと、
本居「理屈じゃない。感じなさい。それがやまとごころです」
きょうのまとめ
いかがだったでしょうか。
日本には日本本来の良さがあります。
ただ、気を付けたいのは、その大事な物差しを自分や自分たちが本当に守れているのか。
そして、世の中にはほかにもいっぱい大事な物差しがあるのを認められるか。
ということです。
日本国だけではありません。
その当事者はあらゆる国や組織、個人にも当てはまりませんか。
① 本居宣長は賀茂真淵の影響を多大に受けた
② 本居宣長が『古事記伝』を執筆するまで『古事記』は『日本書紀』のおまけのようなあつかいだったといわれる
③ 本居宣長の『古事記伝』は後世に多大な影響を与えた
あらゆる角度から何もかもを検証するのをやめる。
そこまではアリだと思います(無為自然、良心の自由)。
ただ、そのままよその世界に手をくわえるとどうなるか。
歴史は黙っているようで雄弁です。
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