旅の俳人松尾芭蕉。
今回は彼の代表作『奥の細道』のはるかなる行程を、
江戸から
奥羽(今の東北地方)、
北陸を経て、
大垣へ、
その心に残る名俳句とともにたどってまいりましょう。
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江戸をいざ出発!
満45才
旧暦3月27日
「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人なり。……」
(時もまた旅人です。……)
「日々旅にして、旅を栖とす」
という松尾芭蕉先生は、
「春立てる霞の空に、
白川の関こえんと、
そぞろ神の物につきて心をくるはせ、
道祖神のまねきにあひて取もの手につかず」
いよいよ春というこの霞の空に、
奥州は今の東北地方の大部分。
そこへの玄関口にもあたる福島県白河の関を越えなきゃな、
と、神々が私の心をそぞろにし、取るものも手につかず、
ついに旅立ち、となるのです!
草の戸も 住み替はる代(よ)ぞ 雛(かり)の家
「草の戸も 住み替はる代ぞ 雛の家」
わたしのこのごくつましい家も、
住人の替わる時がやってきましたね。
ここに住むだろう新しいご主人様は
雛人形でもかざるのかな。
行く春や 鳥啼魚(とりなきうお)の 目は泪(なみだ)
「行く春や 鳥啼魚の 目は泪」
この春も行こうとしているね。
どこからとウグイスは鳴き、
川に泳ぐ魚の目からも涙がこぼれているようだよ。
4月1日
日光
徳川家康を神としてまつった世界遺産『日光東照宮』で知られております。
4月4日
黒羽
4月5日
雲巌寺
4月9日
光明寺
4月19日
那須神社
あの那須与一が八島の合戦で祈願し、
小舟に浮かぶ扇の的を矢で見事射抜きました!
殺生石
九尾のキツネが化けたという”玉藻の前”怨霊の岩です。
いまだ吐くその毒気に触れれば鳥獣もみな死に絶える、と言います。
4月20日
白河の関
さあ、来ました!
奥州最大の関所にして玄関口。
5月4日
多賀城
5月9日
松島
湾に浮かぶ幾百もの奇形の島が織りなす絶景です。
日本三景のひとつです。
夏草や 兵(つわもの)どもが 夢のあと
「夏草や 兵(つわもの)どもが 夢のあと」
5月13日
平泉
こちらは奥州藤原三代が奥州に栄華を誇った地です。
あの『源平合戦』の悲劇のヒーロー源義経は長年その生死を共にした仲間たちとともに、
兄頼朝によって追いつめられてゆきました。
そして、最後の頼みとしてすがったのが、
幼いころに自分の面倒を見てくれた奥州藤原氏。
義経はいったん、ここで再び受け入れられますが、
そこには兄による容赦のない制裁と、
奥州藤原氏による裏切りが待っているのです。
義経とその仲間たちはここで最後の戦いを行いました。
生い茂る夏草よ。
かつて、ここで戦った武者たちもみな、夢のあとだよ。
5月14日
尿前の関
5月17日
尾花沢
閑(しずか)さや 岩にしみ入る 蝉(せみ)の聲(こえ)
「閑さや 岩にしみ入る 蝉の聲」
5月27日
立石寺
山形市の外れ、山あいにある天台宗の古刹です。
時候は今でいうと7月上旬ごろです。
さあ、これから夏本番!
という山中の寺において。
その圧倒的なやかましさの中に返って静けさを見つけています。
五月雨を あつめて早し 最上(もがみ)川
「五月雨を あつめて早し 最上川」
5月29日
新庄
最上川といえば、東北を代表する急流です。
しかも、この梅雨時ですから。
6月5日
羽黒山(出羽三山)
6月6日
月山(出羽三山)
6月7日
湯殿山(出羽三山)
6月10日
鶴岡
6月14日
酒田
6月16日
象潟
荒海や 佐渡によこたふ 天の河
「荒海や 佐渡によこたふ 天の河」
7月4日
出雲崎
日本海に浮かぶ満点の星空を詠ったものでしょう。
季節は七夕です。
荒海の波音。
この夜闇の彼方にはあるはずの佐渡島
そんな広大な自然のキャンバスに、
おしげもなく横たえるのは、
無数の星々さんざめく天の川。
7月13日
市振の関
7月14日
那古の浦
7月15日
金沢
7月25日
小松
むざんやな 甲(かぶと)の下の きりぎりす
「むざんやな 甲(かぶと)の下の きりぎりす」
7月26日
片山津
こちらでは『源平合戦』の折、
朝日の勢いで木曽の山中から京へと攻め上る木曽義仲の軍を
平家方の老将斎藤実盛がむかえうちました。
実盛は戦場にて敵に憐れをもよおされては武士の恥
と、白髪を黒く染めた若出で立ちで挑みますが、
討たれてしまいます。
芭蕉はそんな彼の形見の兜を目の当たりにし、
その下で鳴くキリギリス(今でいうコオロギ)は実盛の霊かもしれない
と、悼んでおります。
7月27日~8月5日
山中温泉
8月5日
那谷寺
こちらは白山信仰で有名なお寺です。
8月7日
大聖寺
8月9日
吉崎
8月10日
天龍寺
8月14~16日
敦賀
8月21日
大垣
ついに到着!
門人たちが集まっていたわりました。
きょうのまとめ
「時もまた旅人」
② 松尾芭蕉は45才という年齢にして4カ月で『奥の細道』のコースを歩いて旅した。
③ 松尾芭蕉は津々浦々、そして季節折々の名句を『奥の細道』にたくさん残した。
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