明治初期の大阪にて、政府官僚や実業家の立場から、経済発展の礎を築いていった
五代友厚。
冠せられた異名は「大阪の恩人」。
関西の豪商たちを巻き込み、瓦解しつつあった大阪の街に活気を取り戻させた功労者です。
その功績は、生涯500以上の企業設立に携わったといわれるあの、渋沢栄一と肩を並べるとされるほど。
やはりというべきか、仕事論といえる名言もたくさん残しています。
以下より触れていきましょう。
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五代友厚の名言
まずは五代本人が残したものとして、よく知られている名言から。
「仕事がマンネリ化している」「意味を見出せなくなっている」
みたいな人には特に響くはずです。
人生でもっとも大切なこと
五代が、人生においてもっとも大切なこととして説いた言葉です。
地位や名誉を手に入れて、みんなから羨望の目で見られたい。
お金をたくさん儲けて、悠々自適に暮らしたい。
こういった願望は大きな原動力になりますし、それでことが成せるなら決して悪いことではないでしょう。
しかし、そのままではどれも結局自分だけで完結してしまっている、その場限りの幸せのように感じます。
困っている人を助けたい、よりよいサービスを届けたいという一心で働いていたら、
結果として有名になっていた、結果として収入が得られるようになった。
そういう考え方でことを成し得たときのほうが、満足感はずっと大きいはずです。
地位やお金だけを目当てに働いていると、きっとどこかで
「この先ずっと、同じことの繰り返しなの?なんのために働いているのかわからない…」
と感じてしまう瞬間があります。
今やっていること自体に意義を見出せている人は、そんな風に心が折れてしまうこともないのでしょうね。
五代流・お金の使い方
かつ、天下の貨財は決してこれを私すべきものにあらず。よく集め、よく散じ、自ら利するとともに人を益してこそはじめて意義あり
自分は決して楽をするために働いているのではない。
お金は一ヵ所に留めておくべきものではない。
たくさん流通させて、自分も周囲の人もみんな幸せになって、はじめて意義があるのではないか。
晩年、あまり事業を広げすぎないようにと、友人から忠告を受けた際に五代が語ったとされる言葉です。
単にお金を稼ぐだけでなく、そのお金を使ってどのように世の中を動かしていくか。
若輩者の身としては、どうやったらそこまで達観できるものかと感嘆させられますが…。
勉強に仕事に邁進していれば、いつかその境地に達する日がくるのかも。
小説『土佐堀川』からの名言
2015年の連続テレビ小説『あさが来た』に登場したことでも注目された五代友厚。
その役どころは、実業家となった主人公・広岡浅子を支える、ビジネスの師匠という立ち位置でした。
史実では、そこまでの関係性だったとは残されていないふたりですが、
原案の小説『土佐堀川』には、五代から浅子へ向けられた激励の言葉がいくつも記されています。
その仕事で後世に残せるものは?
大阪商法会議所、大阪株取引所、大阪商業講習所。
現代にも続くこれらの組織を創設した五代はまさに、死んだあとに残る仕事をこれでもかとやってきた人物です。
自分がその仕事に邁進することで、後世にどれだけのものが残せるのか。
行き詰ったとき、仕事への向き合い方のヒントにできそうな考え方ですね。
他人に負けるのは仕方ない。自分に負けてはいけない
自分に負けるというのはきっと、
「まあ、こんなもんでいいか」
と、どこかで妥協してしまうことでしょう。
ときには力を抜くことも大事、という考え方もあると思いますが、
五代としては自分のなかで妥協してしまった時点で、それはもう負けなのです。
大切なのは、いつでも
「もうこれ以上はできない」
というぐらいの仕事をすること。
その結果、他人に負けたとしたら、全力の自分よりも、さらに世の中に貢献できる人がいたというだけのことです。
相手も全力なのですから、どちらが勝つかは時の運。
そうやって全力同士で切磋琢磨していけば、市場はおのずと活気付いていきますよね。
なるほど、史実とは違っても、五代の人となりをよく考察して考えられたセリフであると伝わります。
五代から大隈重信へのアドバイス
五代が残した有名な言葉に、1875年当時、大蔵大臣を務めていた大隈重信へ贈った5つのアドバイスがあります。
ここにも、仕事上の対人関係の心得にできそうなヒントがたくさん隠されていました。
・自分より地位の低い者が自分と同じ意見なら、その人の意見として採用すること
・怒りに任せ、怒気怒声を発すれば、あなたの徳望を失うこととなる
・事務上の決断は、部下の話が煮詰まってからすること
・自分が嫌ってしまえば、相手も自分を嫌ってしまう。ゆえに、気の進まない相手とも積極的に関わろうとすること
まとめると
「とにかく人の話を聞け!なんでもひとりでやろうとするな!」
という感じ。
よほど親しい間柄でないと、なかなか言えるものじゃないですよね。
どんな状況で贈られたものだったのでしょう?
この前年、政府では清国とのトラブルを巡って、台湾への出兵が行われました。
この出兵は、現地でのマラリア感染などで多数の死者を出したとともに、清国に植民地をもつヨーロッパ諸国を刺激しかねないとして、多方面から批判を呼びます。
結果、財政面で指揮を執っていた大隈は、独断で作戦を決行したと見なされ、辞任を迫られていたのです。
非難が寄せられる原因は、大隈の誤解されやすい性格にもあったという話。
そこで、直属の上司である大久保利通が、すでに政府を辞していた五代を頼り、大隈を諭すよう頼んだのだといいます。
政府の要人も認める、五代の懐の深さが垣間見える逸話ですね。
きょうのまとめ
五代友厚の言葉に触れていると、仕事をするうえで大切なことは、なにより相手を思いやることなのだと学ばされます。
思いやりだけでは暮らしていけないのも事実だし、人間は得てして欲深いもの。
それゆえ難しいことではありますが、ゆっくりでも、五代の残した教えを落とし込んでいきたいものです。
最後に今回のまとめ。
① 大切なのは、自分の仕事で世間に何をもたらせるか。お金や地位は、さらに周りを幸せにしていくために使う。
② 仕事の意義を考えるとき、「後世になにを残せるか」がヒントになる。
③ 「もうこれ以上できない」という努力で、他人と切磋琢磨していくことで市場は盛り上がっていく。
④ 五代友厚はすでに政府を辞していたにも関わらず、大久保利通に頼まれ、周囲から反感を買っていた大隈重信を諭す言葉を贈った。
それでも簡単にはできないからこそ、悩まされるのですが…。
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