心理学の三大巨匠、
フロイト、ユング、アドラー。
同じ心理学という学問を、一時は共同研究したお三方ですが、
これまた、同じ心理学でも、概念は全く違う。
追求すればするほど、お三方の研究はそれぞれ個性的で、大変興味深いものがあります。
早速見ていきましょう。
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フロイト、ユング、アドラーの違いは?
原因追求のフロイト
「意識は氷山の一角」とした、フロイトの無意識論。
フロイトは、人間の行動にはすべて心理的な裏付けがあり、それは「無意識」だとしました。
また、キリスト教の因習の下では性を抑圧する必要がありました。
そうした性を押さえつける社会では、性への抑圧が強すぎて、
発病する患者がいましたので、フロイトはそれらを研究、治療していました。
「夢」は無意識を表すものだとし、例えば性欲を押さえつけている女性が見た夢の中で、
傘などの棒状の物がでてきたら、それは男性器が象徴として現れた物だとし、
夢に出てくる物を分析することでコンプレックスを見つけ出し治療しました。
人類共通の、普遍的無意識を見つけるぞ!のユング
ユングは無意識は個人的なものより集団的なもの、つまり民族や文化を超えた人類共通の「普遍的無意識」があるとしました。
「どんなに時代や文化、民族が違えども人類の無意識には共通の型があるのではないか?」として研究しました。
例えばおとぎ話などは、
例え国や民族が違えども共通の似たような原型があるのを見いだして研究しました。
夢や神話、おとぎ話に共通して見いだされる表象を「元型」と名付けました。
代表的な元型として「太母(グレートマザー)」があります。
例えば日本の縄文土器や世界の古代文明の遺跡では、「母親」のイメージを象った土偶などが発見されており、
それらは情報交換していないにもかかわらず似たような物を作っている。
それが人類普遍に備わっている無意識の象徴として、ユングは研究したのです。
日本で初めてユング研究所にてユング派分析家の資格を取得したのは、故・河合隼雄先生です。
人生はこれからじゃん!のアドラー
フロイト、ユングが、心とはこういう物であるという分析中心型に対して、
アドラー心理学は「こんな風に生きた方がより自分が生きやすくなる」という教えにもとれるため、現代では自己啓発として使われることもあります。
「人間の悩みはすべて対人関係の悩みである」と断言したアドラーの考え方は、
現代の社会に通じるところが多く、多くの人が共感しているので、
昨今では、岸見一郎先生が書かれた「嫌われる勇気」がベストセラーにもなりドラマ化もされました。
要するにアドラー心理学は対人関係の技術を体系的に学び、よりよく生きやすいように個人で実践する感じでしょうか?
ちなみに、日本アドラー心理学会の初代の会長は野田俊作先生です。
フロイト、ユング、アドラーの共通点は?
3人とも力動精神医学を研究した精神科医というのが共通点です。
そして同時代を生きました。
フロイトが、ユングや、アドラーより20才ほど年上であっても、同時代を生きたことは違いないのです。
・ジークムント・フロイト
(1856年5月6日~1939年9月23日)
・カール・グスタフ・ユング
(1875年7月26日~1961年6月6日)
・アルフレッド・アドラー
(1870年2月7日~1937年5月28日)
そして、ユングもアドラーもフロイトと仕事を一緒にしていた時期があります。
フロイトの弟子であったユングも共同研究者であったアドラーも、フロイトの「無意識」の概念を継承し発展させています。
ところがユングもアドラーもフロイトが提唱した無意識の概念を継承しつつ、異なる考えを持って研究を進めていきました。
ユングは、徐々に何でもかんでも性に結びつけるフロイトの理論に疑念を抱き、離れていきました。
アドラーも、劣等感が行動の源となる独自の心理学を展開していき、フロイトから離れていきました。
きょうのまとめ
フロイト、ユング、アドラー、同じ心理学でもどこが一緒でどこが違うの?
簡単にまとめると
① 原因追求のフロイト
② 普遍性見つけるぞ!のユング
③ 人生はこれからじゃん!のアドラー
でした。
いかがだったでしょうか?
同じ心理学でも、同時代に共同研究をしていた彼らから、
それぞれオリジナルの心理学に発展していったところは、興味深いですね。
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