明の永楽帝が靖難の変に勝ち、モンゴルにたびたび攻め込んでいたころ、その西方にはとんでもない征服王が現れておりました。
ティムールです。
世界史上征服面積はチンギスハンに次いで2位。
オスマントルコの英雄“雷帝バヤジット1世”をもアンカラの戦いに破り、捕虜にしております。
ティムールの大軍勢はついに東へ。
明 vs ティムール帝国。
両雄対決のゆくえは……?
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ティムールの第1次中国遠征計画
ティムールは1397年ごろに一度中国遠征を計画しております。
靖難の変が始まる寸前です。
この時、ティムールが攻めてきていたらどうなったでしょう。
しかし、ティムールはその計画をやめてインド遠征をおこなうこととしました。
第2次遠征のゆくえ
インド・中央アジア・西アジア・小アジアで次々征服活動を行ってゆくティムール。
それもひと段落した1404年、思い出したように中国への遠征部隊が組まれます。
その数は20万。
ただその遠征中、カザフスタンのオトラルでティムールは病死。
結局、明の永楽帝とティムールという両雄の激突は避けられました。
ただ気になるのは、ティムールが病死しなかったらどうなったのだろうか、ということです。
モンゴル勢の動向
ティムールが進軍していればまず気がかりになるのがモンゴル勢の動向です。
モンゴルはオイラト部とタタール部に分かれております。
たがいの仲はあまりいいとは言えません。
彼らがどうティムールをむかえ入れるか、あるいは対決するのか、で先行きは大きく変わります。
可能性の大きそうなのは、オイラト部タタール部が「敵(明)の敵は味方」と手をたずさえあい、ティムールを引き入れる、パターンです。
こうなると、彼らはティムールの大軍に対し、属国などから食料を提供させ、ティムールの大軍もなんとか食いつなげるようになります。
万一立てついたとなると、ティムールはそこで消耗することになります。
明遠征は置いといて、彼らを打倒することが最大目標となりえます(そして、ティムールがあこがれる全モンゴルの首領に)。
ティムールの予想進軍ルート
順調にモンゴル勢がティムールの同盟勢力になったとして、次はティムールの進軍ルートです。
草原の道を超えて、
●甘粛省
どちらかに出現いたします。
兵を2手に割る可能性もあります(インド遠征では3手に割りました)。
可能性として一番大きそうなのは
●モンゴル高原
です。
理由として
●たくさんの馬草を確保できます
●モンゴル帝国の旧都カラコルムに行けます(一大セレモニーでもやるでしょうか)
●大軍すぎて食料が持ちません。しかも、本国を長く遠く空けすぎです。短期決戦に持ち込みたいはず。なら、ねらうは敵の本拠地北京です
これに明側はどういった対応を取るでしょうか。
明の対策
明にとって一番まずいのは下手におびき出され、平地で大決戦をすることです。
いかに永楽帝が戦争上手とは言え、ティムール・モンゴルの連合騎馬軍を相手にガチンコは分が悪いです。
永楽帝はモンゴル高原では戦わずに華北へ一時撤退というのもありえます。
勝ちを優先させるならそれが一番懸命に思えます。
元を破ったベトナムがとった策です。
とにかく、明は勝つ必要すらなく、負けなければいいのです。
ねばればティムールはそのうち引き揚げます。
味方の動向
明にとってもティムールにとっても不安材料は味方です。
永楽帝は靖難の変が終わって間もなくです。
甥で人気のある建文帝を武力で倒して皇帝に即位したため、人々の間で不人気です。
ティムール侵略に乗じていくらか反抗勢力が火の手を上げる可能性があります。
明とすれば我慢でしょう。
ティムールがいなくなるまでねばりまくるのです。
永楽帝は靖難の変でだいぶきたえられてはいるはずです。
ティムールもモンゴルをあまり信用できないでしょう。
彼らが妙なことをすると、ティムール軍は本国からはるかに離れて取り残されます。
なのでそもそも、ティムールはモンゴル入りしただけで引き上げる可能性すらあります。
明を占領したところで直接支配はむずかしそうです。
おそらく、なんらかと交換条件にモンゴルにゆずりわたすのではないでしょうか。
そんなリスクが大きく実利の少ない戦争に長くかかずりあっているよりは、どこかでひとつ戦果を挙げて、うまくいけば部下らへの恩賞も確保するだけして、早々に引き上げてゆく、というのが一番ありそうです。
きょうのまとめ
この時代はモンゴル帝国後世代。
北緯35度ラインには新たに力を付けてきた明・ティムール帝国・室町幕府・李氏朝鮮・オスマントルコ、……。
① ティムールは靖難の変の直前ごろ中国遠征を計画していた
② ティムールは中国遠征に向かう途中に病死した
③ ティムールが攻めてきたら明はねばりだ!
この戦争は壮絶な被害が出る恐れがあります。
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