ピカソの作品は時代ごとで全然違う?!時代べつ作風の変化 

 

20世紀に活躍したスペイン出身の芸術家、

パブロ・ピカソ

立体派とも言われるキュビスムを確立したり、

彫刻においても新たな創作技法を生み出したりなど、

その幅広い芸術活動は後の芸術家たちに大きな影響を与えました。

最も作品数が多いとも言われているピカソ。

今回は、そんな彼の作品について触れていきましょう。

 

時代で辿るピカソの作品

パブロ・ピカソ

パブロ・ピカソ
出典:Wikipedia

ピカソの作品は生涯にわたってその作風が変化し続け、

時代ごとに区切ってそれぞれに名前が付けられています。

ここではそれぞれの時代における作風の特徴や、

主な作品についてご紹介していきます。

青の時代

ピカソ、自画像

「自画像」

ピカソが20代前半だった1901年~1904年

当時の彼の作品たちは「青の時代」という名前で分類されています。

その名から想像がつくように、この時代の作品は全体的に青で統一感を持っています。

作風の背景には、ピカソの深い悲しみが関係していました。

彼は19歳のときに親友を亡くしていて、

その悲しみを抱えたまま芸術活動を行っていたのです。

ピカソの心中が昇華された作品はどことなく孤独感や不安をまとい、

紺青の冷たい美しさが作品に深みを与えています。

題材にも貧困層などの社会的弱者を多く採り上げていました。

この時代の代表的な作品のひとつが、『自画像』です。

20歳の自分を描いたとは思えないほど年老いてやつれた印象を与えてきます。

バラ色の時代

picasso ピカソ

「パイプを持つ少年」

恋人ができたことで徐々に精神が安定してきた1904年~1906年

ピカソの作品は「バラ色の時代」に入ります。

青だけでなく、暖色系の明るい色を取り入れるようになるのです。

この頃の作品は「サーカスの時代」とも呼ばれていて、

ピカソは恋人以外にも道化師などをモデルに選んでいました。

そして古代ヨーロッパの彫刻作品などを研究し、

造形性に対して強い興味を持つ時代でもありました。

この時代の代表的な作品は、『パイプを持つ少年』

『サルタンバンクの家族』等です。

アフリカ彫刻時代

picasso ピカソ

「アヴィニョンの娘たち」

キュビスム黎明期とも言われる1907年~1909年

ピカソの作品は「アフリカ彫刻の時代」に入ります。

この時代の代表作『アヴィニョンの娘たち』は、

アフリカ彫刻や古代イベリア彫刻などの影響を受けて制作されました。

この頃に研究していた技法が、後の時代の作品たちにつながっていきます。

キュビスムの時代

picasso

「素人闘牛士」

先述すると、「キュビスム」とは点や線を再構成することで、

立体の本質を表現しようとする絵画の一派のことです。

ピカソがジョルジュ・ブラックと共に確立しました。

「キュビスムの時代」は3つに分かれていて、

・セザンヌの作品に影響を受けた1909年「セザンヌ的キュビスムの時代」

・ブラックと共にキュビスムを創始した1909~1912年「分析的キュビスムの時代」

・コラージュ技法を用いた1912~1918年「総合的キュビスムの時代」

からなっています。

主な作品に『素人闘牛士』(1912年)、

『ブルゴーニュのマール瓶、グラス、新聞紙』(1913年)

などがあります。

新古典主義の時代

picasso ピカソ

「海辺を走る二人の女」

第一次世界大戦が終結した1918年~1925年

ピカソの作品は「新古典主義の時代」へと移行します。

この時代では、古典的で写実的な技法を用いて独自の作品を制作していました。

代表作に、『海辺を走る二人の女』、『安楽椅子のオルガ』

等があります。

この頃の彼の作品は、新古典主義とキュビスムが融合した作風で、

写実性にドラマチックさが足され、デフォルメされた印象を受けます。

シュルレアリスムの時代

picasso ピカソ

「ダンス」

1925年~1936年にかけての作品は「シュルレアリスムの時代」と呼ばれます。

シュルレアリスムとは、人間の無意識や夢の世界を表現する「超現実主義派」のことです。

この頃の作品は、ピカソの妻に対する不満が大きく募った時期に描かれていました。

妻との不仲によって精神的に不安定になっていたピカソは、

この時代に化け物と言えるようなイメージの作品を多く残しています。

主な作品に『ダンス』、『自画像のある女の胸像』等があります。

 

そして生まれた有名作品

picasso ピカソ

「ゲルニカ」

ここまで、ピカソの時代ごとの作風と主な作品たちをご紹介してきました。

これらの時代を経て生まれた日本でも有名な作品が、

『ゲルニカ』です。

この作品は1937年にスペインのゲルニカで起きた、

ナチス軍による史上初の都市無差別空爆の様子を題材にしています。

そして同時期のもう一つの有名な作品が『泣く女』です。

picasso ピカソ

「泣く女」

モデルになった女性は、ピカソの複数いた恋人のうちの一人で、

これらの作風は、キュビスム的な複数の視点から見たものを、

ひとつの画面で表現する技法を用いています。

ここでご紹介した2作品には関連性があり、

『ゲルニカ』に描かれている女性は『泣く女』に影響しているのです。

 

きょうのまとめ

今回は、スペインの芸術家ピカソの作品についてご紹介しました。

いかがでしたでしょうか。

最後に今回の内容をまとめると

① ピカソの作品は生涯を通してその作風が変化し続け、時代ごとにそれぞれ名称が付けられている。

② 「青の時代」「バラ色の時代」「アフリカ彫刻時代」を経て生まれた「キュビスムの時代」は、ピカソがジョルジュ・ブラックと共に確立したキュビスムによって後の芸術家に影響を与えることになった。

③ 様々に変化する作風のなかで独自の表現を確立していったピカソの作風は、やがて『ゲルニカ』や『泣く女』等の代表作へとつながっていく。

様々な作風によって描かれたピカソの作品。

あなたはどの時代の絵画に心惹かれるのでしょうか。

ピカソの年表を含む【完全版まとめ】記事はこちらをどうぞ。
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