古代ギリシャ・アテネにて生涯を通じて学問に精通した
アリストテレス。
彼は哲学の祖と呼ばれるソクラテスの孫弟子、そして同じく著名な哲学者・プラトンの弟子に当たり、現代にも続く哲学の通説を牽引した人物です。
哲学のみならず、自然学においても多岐に渡る論述を残しており、物理学や天文学、動物学など自然に基づく学問の基礎を築き上げ、「万学の祖」という異名を持ちます。
そんなアリストテレスは、生涯に渡って数多くの名言を残しました。
その数はとても覚えきれるようなものではありませんが、彼の名言には共通する部分を持つものが多くあります。
これはアリストテレスの考えの一貫性を示すと同時に、多くの事柄において、辿り着く真理は限られていることも表しています。
今回はそんな彼の名言をいくつか紹介していきましょう。
きっと現代にも活かせる教訓がたくさん隠されているはずです。
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人となりを形作るもの
人は自分の性格の欠点について、以下のように考えてしまいがちです。
「生まれつきだから仕方がない」「そういう性格に育ってしまったんだから、今さら変えられない」
欠点を直すことはすごく難しいから、仕方がないと考えたほうが楽なのでしょう。
ただアリストテレスは、この「生まれつき」や「性格は変えられない」という思い込みを真っ向から否定しています。
我々の性格は、我々の行動の結果だ
我々の性格は、我々の行動の結果だ
アリストテレスによると、その人の性格はすべて、その人の行動の結果だといいます。
そしてこの言葉をより詳細に説明したのが、この名言。
私たちは美徳と優秀さを持っているから
私たちは美徳と優秀さを持っているから、正しく行動するのではない。正しく行動するから、美徳と優秀さがもたらされるのだ
つまり逆もしかりで、怠け者は元から怠け気質なのではなく、怠けてしまったから怠け者だということ。
確かに自分を怠け者だと思っている人が、それを自覚して勉学に励めば、その人のことを怠け者とは呼びません。
ただ三日坊主という言葉があるように、その一瞬だけ頑張るぐらいなら誰にだってできることです。
そしてそのとき頑張るだけでは、性格は形作られないこともアリストテレスは語っています。
人はものごとを繰り返す存在である
人はものごとを繰り返す存在である。つまり優秀さとは、行為ではなく習慣によって成り立つ
つまり人の性格は生まれつきのものではなく、行動によって変えることができる…しかし、その行動は繰り返し続けられないと意味をなさないということですね。
本当の友とは
アリストテレスは友人関係についても、複数の名言を残しています。
その中でも特に核心をついた印象を受けるのがこの言葉。
不幸は本当の友人でない者を明らかにする
不幸は本当の友人でない者を明らかにする
自分の身に不幸が降りかかったとき、今親しくしている友人は手を差し伸べてくれるでしょうか。
なんとなく上辺で付き合っているなら、自分が労力を払ってまで相手を助けようとは思わないはずです。
逆に相手を大切に想っていれば、損得勘定を抜きにして手を差し伸べるでしょう。
そしてアリストテレスは、この件に関して次の名言も残しています。
多数の友を持つ者は、一人の友も持たない
多数の友を持つ者は、一人の友も持たない
この言葉の真意は、それほど多くの人を同時に思いやることはできないということでしょう。
人脈、人脈といってとにかく人と繋がることばかりに一生懸命になっている人が、一人一人とどんな話をしたのか、詳細に覚えているでしょうか。
自分が不幸に際したとき、どんな話をしたかも覚えていない、どんな考えを持っているかも知らない人が助けてくれることは、きっとないはずです。
天職とは何か
世間が必要としているものと
世間が必要としているものと、あなたの才能が交わるところに天職がある
アリストテレスが語った仕事論です。
これは裏を返すと、どれだけ才能のあることでも、世間から必要とされなければ天職にはなり得ないということでもあります。
ひと昔前を考えれば、ゲームが上手なことは仕事には直結しませんでした。
ただ今はプロゲーマーを名乗る人もいる。
インターネットの繁栄などにより、世間はゲームが上手い人を求めるようになったということです。
世間のニーズがあってこそ仕事が成り立つという、ビジネスの教訓のような名言ですね。
それはわかっていても、そもそも自分には何も才能がないと思っている人もいるでしょう。
そういう人には以下の名言が残されています。
真の音楽家とは音楽を楽しむ人であり
真の音楽家とは音楽を楽しむ人であり、真の政治家とは政治を楽しむ人である
働く喜びが仕事を完璧なものにする
働く喜びが仕事を完璧なものにする
この二つの名言が物語ることは、仕事を楽しめることが、すなわち才能であるということです。
そして思うに、この「仕事を楽しめる」の意味は、趣味を仕事にすることだけを表したものではありません。
自分が仕事をして誰かが喜んでくれる。
これってすごく楽しいことだとは思いませんか?
きょうのまとめ
個人の性格の話から、人間関係、仕事論にいたるまで、アリストテレスは現代にも通じる、普遍的な名言をたくさん残していました。
哲学というと小難しいイメージがありますが、彼の言葉はどれもわかりやすい言葉で、語られているのが印象的ですね。
物事の真理というのは、意外にシンプルなものなのかもしれません。
今回の内容を簡単にまとめてみると…
① 人の性格は生まれつきではなく、行動によって作られる。ただし、その行動は続けなければ意味がない
② 本当の友達は不幸が降りかかったときも、手を差し伸べてくれる。同時にそれほど多くの人を思いやることはできない
③ 世間に求められることと、楽しめることが合致したとき、それが天職になる。
行動を起こすことにしても、友達一人一人を大切にすることにしても、仕事を楽しむことにしても、言葉にしてみればごくごく基本的なこと。
でもそれでいて、出来ているかと問われれば返答に困ってしまう…基本的なことこそ、難しいものだということは、アリストテレスが生きた数千年前から不変の事実なのでしょう。
アリストテレスの年表を含む【完全版まとめ】記事はこちらをどうぞ。
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