あなたのお気に入りの兜はどんなのですか。
●大きな鍬形前立、きれいにくるりとなった吹返でなじみの源平スタイル。
●白熊の武田信玄
●鮮やかな三日月の伊達政宗
●ド派手な日輪、豊臣秀吉
●雄々しい牛角、黒田長政
●“愛”の一文字、直江兼続
●赤地に鹿角・六文銭、真田幸村
戦士たちの出で立ちはまさに戦場の花。
彼らはそこに命がけの男ぶりをさらしに行くのです。
さて、海外にはまたなんとも変わり種の兜が。
その持ち主はイギリス絶対王政の火付け役ヘンリー8世。
その兜のようにちょっと風変わりな性格と彼のかかわった何ともドタバタな戦争についての紹介です。
ヘンリー8世の性格
世界的にヘンリー8世と言えば、“自分勝手”の代名詞のようなあつかい。
文武に大変秀でた人ではあったのですが。
6人の奥さんと結婚したことで有名です。
すぐに目移りして、離婚・結婚を繰り返すのです。
ここはまだ近世のクリスチャン。
離婚・重婚が厳しく禁じられていた時代に、です。
また、この時代の“知の象徴”ともいうべきトマス・モアを処刑してしまったことでも知られております。
ちなみにトマス・モアといえば、時の社会や政治を風刺した著作『ユートピア』が有名です。
世界史テスト対策なら、ぜひセットで覚えておきたいところです。
ヘンリー8世の兜
ヘンリー8世がかぶった、その個性豊かな兜はやはり彼の性格をどこか象徴しているのでしょう。
頭の左右の端からはクルクルと巻いた羊の角みたいなのが生えております。
鉄仮面でなぜか丸縁眼鏡をかけたデザイン、鉤鼻で、歯をニッと出し、なんだか不思議な妖精みたいです。
ちなみにこのデザイン、もしあなたが歴史漫画好きなら見た覚えがありませんか。
ある古田織部という武将であり超カリスマ茶人、という“へうげた”主人公の漫画、で主君織田信長様がかぶっておりました。
カンブレー同盟戦争
ヘンリー8世がこの兜をかぶって出陣をした戦争は、あの兜も真っ青なくらい“?”です。
応仁の乱や南北朝争乱ですら、まだわかりやすいです。
その名もカンブレー同盟戦争。
何がすごいって、敵味方の変わり身が早すぎて多すぎて。
初めは
1499年
〇ヴェネツィア、フランスvsミラノ●
だったのに、今度はローマ教皇ユリウス2世(ミケランジェロを悩ましたなかなかのくせ者ぶりで有名です)が
「ヴェネツィアをやっつけるぞ」
と呼びかけ、
1509年
○神聖ローマ帝国、フランス、ローマ教皇vsヴェネツィア●
やばくなったヴェネツィアはさすがに商業で成り上がった伝統のしたたかさをここで発揮。
「うちがやられたらフランスやオスマントルコが手に負えなくなりますよ」
とユリウス2世に吹きこむと、
1511年
○イングランド、神聖ローマ帝国、ローマ教皇、ヴェネツィア、スイスvsフランス●
ここでイングランドが出てきましたね。
ところが今度はその後始末をめぐって列強が仲間割れ。
フランスとヴェネツィアが手を組みます。
さらに敵の敵は味方、とばかりに彼らはスコットランドを味方に引き入れ、イングランドをおそわせます。
1513年
○イングランドvsスコットランド●
また、
○スペインvsヴェネツィア●
そして、
1515年
○フランスvsローマ教皇、スイス●
……。
私もあの兜を付けようか、という気になってきました。
きょうのまとめ
私はあの兜を見ているとギリシャ神話の牧羊神パンを思い起こしてしまいます。
パンは時に人々の心を狂わせます。
パニックの語源となっております。
① ヘンリー8世は不思議なデザインの兜をかぶっていた
② ヘンリー8世はものすごく気まぐれだった
③ ヘンリー8世があの兜をかぶって参戦したカンブレー同盟戦争はもっと気まぐれだった
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