インカ文明とピサロのミイラ

 

ミイラで有名なのは古代エジプトです。

日本にも即身仏信仰というのがありました。

土の中で瞑想したまま亡くなり、ミイラになったお坊さんのことをあがめたてまつります。

世界ではほかにもいろんなケースが知られております。

そして、南米ペルー。

実はここもミイラが盛んに作られているところです。

そして、大航海時代の“征服者”と呼ばれたある男もこの姿に成り果ててました。

その名はフランシスコ・ピサロ

いったいどういういきさつでこうなったんでしょう?

 

リマ

フランシスコ・ピサロ
出典:Wikipedia

ペルーの首都リマ

実はここ、ピサロが開いた町であることを知っていましたか。

今もコロニアル風(※)の街並みがとても美しく、数多くの世界遺産でも知られております。

(※)大航海時代スペイン・ポルトガルの植民市風。中南米やアフリカなどに多いです。

人口の大部分がインディオ(原住民)とメスティーソ(原住民と白人の混血)。

また、地上絵で有名なナスカやインカの古都クスコ、空中都市マチュピチュへの観光拠点ともなっております。

<ペルー・首都リマ>

 

ピサロによる大航海時代

ピサロは父が名士、母が低い身分からの妾(めかけ。愛人)という複雑な家庭環境で育ちました。

そんなピサロが一躍、夢をかけたのが「新世界(今の南北アメリカ)」。

時代は「コロンブス」「ヴァスコ・ダ・ガマ」などでわき返っておりました。

ピサロはそんなヨーロッパ人には未知なる大地で、歴史を新たに切り開く瞬間を目の当たりにするようになります。

上司バルボアとともに太平洋を発見

しかし、バルボアは失脚。

彼を逮捕したのはほかでもないピサロです。

一方で、ピサロの野心はついにある大事業へと……。

 

インカ文明

建築技術

13~16世紀今のアンデス地方を中心に栄えたインカ帝国。

とても高度な建築技術などで知られております。

たとえば、クスコやマチュピチュなどにある石組み。

カミソリ1本入らないほどのすき間でビシッとパズルのように組まれています。

道路ネットワーク

また、インカと言えば発達した道路ネットワークでも有名。

別名「インカ道」

アンデスの山や谷の入り組んだ地形の中、できるだけ直線に。

石や雑草などをなるたけはらいのけ、「チャスキ」という飛脚の制度を使います。

ランナーを1区・2区・3区という風に継がせ、できるだけ早くに情報を伝えよう、というシステムです。

「チャスキ」においては1区間約8km。

また、「インカ道」の途中途中には「タンボ」という宿場も造られておりました。

外科医術

そして、インカと言えば外科医術についても忘れてはなりません。

一部をきれいに丸くくりぬいた頭蓋骨(ずがいこつ)が見つかっております。

明らかに外科手術の跡です。

当時の日本や世界の水準を考えると、これはすごいです。

 

ピサロ決起

ピサロはインカ帝国を目指して南米大陸奥地へと探検隊を組織し、分け入ります。

途中、飢えや現地人やワニにおそわれ、あまりにたくさんの命が失われました。

それでも3回目のチャレンジにてようやく到着。

ここでその野望をついにあらわとします。

インカ皇帝アタワルパとの初会見。

なんとこの場でピサロらはアタワルパをいきなり拉致

さらに180名の総員で同時決起へとふみきります。

大砲や鉄砲、ボウガンで辺りを修羅場に変え、そのままアタワルパを幽閉してしまいました。

ピサロはアタワルパをうまくあやつって帝国に大量の黄金や銀・財宝などを貢がせます。

しかし、ついにはアタワルパを殺害。

アタワルパは「いつか復活して必ず復讐する」と誓い、死んでいったと言います。

 

インカのミイラ文化

ここでインカにおけるミイラ文化について少し紹介しましょう。

アンデス一帯ではインカよりずっと昔からミイラを作る文化がありました。

ちなみにこの文化は今でも地元の一部で残っております。

インカ帝国では先ほども書いた通り太陽の神を信仰しています。

帝国中から女性を首都クスコに集め、「だれが一番ふさわしいか」を選ぶのです。

選ばれた女性はとても大事にされます。

そして、麻酔効果のあるコカの葉やアルコールをたくさん摂らされ、亡くなってゆきます。

彼女は神へとささげられるのです。

 

リマの変

やがてピサロはリマを建設。

しかし、その絶頂は長続きしませんでした。

スペイン本国から「アタワルパを勝手に殺した」として罪に問われます。

そして、ピサロ兄弟はお互い反目しあうようになります。

さらに、かつての征服仲間アルマグロとも戦うことに。

そんな大変な混乱のさなか、ピサロは暗殺されます。

その死体はちゃんと埋葬されることすらありませんでした。

気付けばミイラに。

今はリマにある、自身で礎石を立てたカテドラル(大聖堂)に抱かれるよう静かに眠り続けております。

 

きょうのまとめ

① ペルーの首都リマはピサロが建てた町

② ピサロはインカ帝国の皇帝アタワルパを非情な計略で拉致し、インカ帝国からたくさんの金銀財宝を巻き上げた

③ 身内同士の争いなどからピサロは暗殺されてミイラとなった

 
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