あなたはエンリケ航海王子を知っていますか。
あるいは、名前を知っていたとしても、どういった人で、どんな人生を送った人か、は知っていますか。
ヨーロッパ大航海時代の先駆けとなった男の光と影を紹介します。
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エンリケ航海王子とはどんな人
- 出身地:ポルトガルのポルト
- 生年月日:1384年3月4日
- 死亡年月日:1460年11月13日(享年66才)
- ポルトガル王国の王子。西アフリカ探検をプロデュース。大航海時代を開く。
エンリケ航海王子の年表
1394年(0才)エンリケ航海王子生まれる
1414年(20才)ポルトガルのセウタ遠征に参加
1420年(26才)キリスト騎士団長に就任
~西アフリカ探検を盛んにプロデュース
1437年(43才)タンジール派兵失敗。弟フェルナンドを人質として差し出す。
1439年(45才)アフォンソ5世の摂政となる。このころから西アフリカ探検プロデュースがふたたび盛んになる。
1443年(49才)弟フェルナンドが殺される
1460年(66才)エンリケ航海王子亡くなる
エンリケ航海王子とキリスト教
エンリケ航海王子はキリスト教への信仰がとても篤い人です。
お酒は若いうちに少し飲んだきり。
結婚は一生しておりません。
世俗欲を並外れて我慢することができます。
そして、当時キリスト教で盛んだった「世界をキリスト教に解放するんだ」という発想にとても素直。
彼は優秀な「騎士団長」です。
20才の時、イスラム勢力が支配していたセウタへの遠征で活躍。
その後は当時、「生きて帰れない」と言われていた西アフリカの海への探検を積極的にプロデュースしてゆきます。
弟フェルナンドの悲劇
エンリケ航海王子40代前半の時、ある衝撃的なできごとが起こってしまいます。
タンジール遠征。
タンジールはモロッコ西岸にあるイスラム勢力が支配する港町。
もともとここをおそうことに、ポルトガル国内では賛成派と反対派に大きく割れておりました。
エンリケ航海王子はそこで賛成派の重鎮として押し切ってしまいます。
しかし、この遠征は大敗北。
そして、「降伏するための人質としてだれが行くべきか」で、エンリケ航海王子は自分が名乗り出ます。
しかし、遠征軍のリーダーが人質になってはポルトガルのメンツがまるつぶれ。
なのでその案は取り下げられ、かわりに弟フェルナンドが行くことになりました。
ところが、人質を取られるだけ取られて、ポルトガル・イスラム勢力の間で取り交わされた約束はうやむやになり、イスラム勢力は、
「セウタを返せ。さもなくばフェルナンドは」
の一点張り。
エンリケ航海王子はこれにまったく応じません。
ついに、フェルナンドはイスラム勢力側に殺され、その死体は見せしめとして城壁から逆さづりにされました。
終わりのない冒険
エンリケ航海王子のプロデュースした探検隊は西アフリカの奥深くへとどんどん進んでゆきます。
ナン岬、ボジャドール岬、ヴェルデ岬、……。
エンリケ航海王子は新たに見つけた土地で貿易したり、開拓したり。
漁業、小麦栽培、石けん・砂糖の製造、……。
やがて、黒人を奴隷としてヨーロッパに連れ帰り販売することも覚えます。
当時、エンリケ航海王子は
「黒人たちをまちがった信仰からキリストの教えに解放してあげるんだ。これで彼らも無事天国に行ける。幸せな人たちだ」
と本気で考えておりました。
ポルトガルのザグレスに「王子の村」と呼ばれた航海学研都市を造り、このプロジェクトを手厚くバックアップ。
やがて、アフリカの奥にあるという金のありかも次第にわかってきます。
歴史の歯車
エンリケ航海王子は66才で死亡。
しかし、一度動き出した歴史の歯車は加速します。
ギニア湾に面する胡椒海岸、黄金海岸、奴隷海岸、象牙海岸。
どれもポルトガルをはじめとするヨーロッパ列強諸国とアフリカ現地における悲惨な取引のおこなわれていたところです。
そして、彼らの冒険欲はさらにアメリカ“新大陸”・インド航路・世界一周……。
やがてその波はわれらが国にも押し寄せてくることとなります。
きょうのまとめ
人間の歴史は人間の履歴書です。
私たちがそんな生やさしい生き物でないことはおそらくだれもが知っております。
ただ、私たちはみんな生きているのですからよりよい社会にしたいものです。
私たちの正体を見極めた上で何ができるかを考え実行したいですね。
そして、“安易なもの”に走るのは、とても危険だ、と私は思っております。
といって“走らずに済ませる”のがなかなか難しいのですが。
永遠に続く報復合戦の連鎖、後々になってやってくる大きな喪失、……。
歴史というものには結局どこにもそういったものがくっきりと記されております。
① エンリケ航海王子は当時流行った「力づくでもキリスト教をみんなに広めよう」という信仰がとても篤かった
② エンリケ航海王子はセウタを守るために自分の弟の命を犠牲にした
③ 「大航海時代」は新たな発見と大きな悲劇の始まりだった
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