激動の時代の中で
滅びゆく勢力の当主として懸命に組織を盛り立て、あまりに若くしてはかなく散った
江戸幕府第14代将軍
徳川家茂。
実はこの人、歴女にファンが多いようですね。
なぜ?
そんな理由について彼を取り巻いた時代の女性人たち2人からクローズアップしてまいりましょう。
かたや生涯唯一の奥さんである
皇女和宮。
かたや大奥の重鎮、
天璋院篤姫。
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和宮降嫁
さあ、ではまず。
家茂の奥さん和宮の生い立ちから語ってまいりましょう。
和宮は仁孝天皇の第8皇女。
満5才にして有栖川宮熾仁親王と婚約します。
この熾仁親王という人、実は大変な親長州派。
・新政府では福岡藩知事
・元老院議長
・西南戦争における鹿児島県逆徒征討総督
を歴任するなどのなみなみならぬ活躍をしました。
激動の時代において、幕府・朝廷・諸大名などあまりに多くの思惑がうずまく中、
突如持ち上がった話が、
和宮の降嫁。
和宮はこれを何度も拒絶しますが、結局いいなづけ有栖川宮熾仁親王との婚約破棄のやむなきにいたり、
1861年とうとう江戸の”将軍の妻”となるべく東下することとなるのです。
和宮満17才、季節はいよいよ暮れ行こうとしておりました。
嫁姑バトル!皇女和宮vs天璋院篤姫
大奥の暮らしは和宮には大変つらいものでした。
かねてよりの
「御所風の暮らしを」
という要望はどうなってしまったのでしょう。
お父さん仁孝天皇の年回忌には上洛できる、という約束も?
大奥の女たちとの折り合いも悪く、涙したことも。
そして、そういった彼女らの元締めこそ
だれあろう
天璋院篤姫です。
篤姫は島津斉彬の養女であり、第13代将軍徳川家定の御台所(正室)。
そもそも、江戸城に入っていきなりのこと、
篤姫を天璋院と呼び捨てしたのは和宮だったとか。
その後、城内ではこんなしきたりがごく当たり前になったようです。
篤姫が上座。
和宮が下座。
篤姫が座布団あり。
和宮がなし。
だれかさんはだれかさんにほんのさやかな会釈すらあらしはりません、
かったそうですな。
嫁と姑、ということでしょうか。
そして、とても根深くて複雑な事情がいろいろとおたがいに入り組んでいるのです。
仲良好!!同い年のロイヤル夫婦
家茂と和宮は同い年で、生まれた月も同じ。
こちらも最初はおたがい乗り気じゃなかったみたいです。
が、実際夫婦になってみると。
家茂が上洛する際には、その無事と宿願成就を祈ってでしょう。
和宮はお百度詣りを行っております。
そして、
「惜しましな 君と民との ためならば 身は武蔵野の 露と消ゆとも」。
一般的に、幕末の歴史にくわしい人たちの間では和宮が江戸へ“嫁入りに行く”時の歌として知られております。
確かに。
そう見えますね。
が、実のところ、最近ではその説は否定されつつあるんですよ。
これに対し、もう一方の家茂はどうだったか。
日々気まぐれに荒れ狂う歴史の大嵐の中にあってなお、そのあまりに重大な身の上。
しかし、家茂は江戸で待つ一生でただ一人の妻に手紙をマメに送り続け、
ついにその短すぎる生涯を任地ではかなく散りはたしたあとも、
彼女との約束だった
京の西陣織
はそのもとにきっちりと送り届けられました。
徳川のために手を携えて
例のごとく散々だったあの二人……。
でも、次第に打ち解けあっていったようですね。
そもそも二人とも徳川慶喜はきらい!
ですし、徳川家茂のことなら……、です。
「戊辰戦争の折には二人手を携え、徳川家の存続を嘆願した」
と伝えられます(慶喜公の助命もしっかりお願いしてますよ!)。
維新後はかなり仲良く、二人で勝海舟の家をたずねあったりしていたようですね。
そして、和宮が病気で体を悪くした折にはその療養先の箱根塔ノ沢まで、めったに東京を出なかった篤姫が見舞いにはるばるむかいます。
しかし、和宮は“愛母”のやってくるまでの猶予をあたえられてはおりませんでした。
1877年(明治10年)満31才。
その原因は奇しくも夫家茂と同じ脚気であったということです(夫と同じくやはり甘いものが大好きで、症状を悪化させたということです)。
その遺骸は和宮のかねての遺言通りかつての夫家茂の隣に葬られました。
その6年後、徳川方の残された人々のために奔走してきた篤姫も満47才で没。
すでに時代は明治をひた走っておりました。
きょうのまとめ
① 徳川家茂と和宮は時代の渦に飲み込まれるようにして政略結婚することになった
② 徳川家茂と和宮の夫婦仲はよかったといわれる
③ 和宮と天璋院篤姫は当初かなり険悪だったが、次第に打ち解けあい、竹馬の友となった
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