今はすっかりドラマなどで「遠山の金さん」としてなじみの
遠山景元。
ですが、彼もあの「大岡越前」と同じく、お白洲に出て名裁きをしたといったことはあまりなかったようです。
むしろ、当時江戸に吹き荒れていた”天保の改革”の嵐に立ち向かった人情派の政治家として人々に大変な人気があったようです。
“天保の改革”といえば水野忠邦です。
遠山 vs 水野
さあ、そのバッチバチバトルの行く末をとくとご堪能ください。
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遠山景元はどんな人?
- 出身地:おそらく江戸(現在の東京都)
- 生年月日:1793年9月27日
- 死亡年月日:1855年4月15日(享年61才)
- 江戸後期の役人、政治家。庶民の暮らしに厳しすぎる水野忠邦のやり方に反抗
遠山景元の年表
1793年(0才)遠山景元生まれる
1840年(47才)遠山景元、江戸北町奉行に就任する
1841年(48才)天保の改革始まる
1847年(54才)水野忠邦、改革のいきづまりにより失脚
1855年(61才)遠山景元死去する
父さん、俺、バックレる!遠山景元の若いころはかなりのヤンキーだった?
遠山景元の実のお父さんは遠山景晋(かげみち)という長崎奉行を務めたほどのエリート。
長崎奉行は昔から”もうかるウハウハの役職”ですから、
「みんなのやりたい仕事ランキング」にはいつも上位に食い込む大人気ポストです。
ですが、景元の生まれたころには父景晋にはすでに遠山景善(かげよし)という養子をむかえておりました。
そして、この景善が遠山家の次の跡取りとして決められるのです。
こうした結構複雑な家庭に育ってしまいまして、景元、大いにグレたそうです。
ヤンキー仲間と混じって女と酒に明け暮れる
さらには「入れ墨」説がありますね。
ですが、結局義兄景善が早くに亡くなってしまいまして、
景元は期せずして35才で遠山家の家督を継ぐこととなります。
遠山景元推して参る!老中水野忠邦との対決
その後、景元は幕府の役職をポンポンと出世を続けます。
47才で江戸北町奉行にまで任ぜられまして、
そんなちょうど任期の始まり頃あわせるようにして水野忠邦の天保の改革が始まるのです。
何せ天保の改革は”贅沢への取り締まり”がきつい!
女浄瑠璃の寄席は全面撤廃!
とか
芝居小屋を廃止!
とか
あの歌舞伎役者の七代目・市川團十郎などを処罰する!
とか言い出したりして、
庶民としては
「俺たちの娯楽を何から何までとりあげるんじゃねえ!」
となるわけです。
景元は
「ようようよう。改革も結構だが、下々の者らのことを一向気にかけず、ただなすりつけるようにばかりしちゃ。そりゃご政道の風上にも置けねえんじゃござんせんか 」
と言ったかどうかわかりませんが、
元々自分がヤサグレていた時に味わった庶民の人情というものが身に染みていたのでしょうか、
水野らのやり口にことごとに異を唱えるようになります。
まあ、ただ水野だって負けてはいません。
鳥居耀蔵という目付を付けてよこしてきます。
この鳥居という男が大変な曲者です。
景元と意を通じ合っていた江戸南町奉行の矢部定謙という同僚がいます。
矢部はこの鳥居によって過去の事件を蒸し返され、クビになり、間もなく亡くなってしまいます。
それでも景元はめげず、水野らの意見に反抗!
女浄瑠璃の一件でも、芝居小屋の一件でも、水野らに妥協案を認めさせます。
これが庶民に人気を呼びます。
「金さん(景元)は俺たち、あたしたちの味方だ」
ということで称賛されてゆきます。
やがて天保14年水野忠邦は改革の行き詰まりによって幕府から老中(今でいう総理大臣みたいなもの)のクビを申し渡されます。
こともあろうに、この時、あの鳥居は反水野派に付き、いったん保身に成功いたします。
が、後に失脚。
景元はその後も幕府に重くあつかわれつづけたようです。
きょうのまとめ
今も昔も人のやり取りというのは変わりませんね。
景元みたいな人、水野みたいな人、鳥居みたいな人、
あ、いるいる!とか思いませんか。
① 遠山景元は複雑な家庭環境のためか、若いころ大いにグレていたといわれている
② 天保の改革にあたって遠山景元は、水野忠邦の庶民の暮らしをあまりにないがしろにしたところに大いに反発した
③ やがて天保の改革は挫折するが、遠山景元はその後も幕府に重く用いられつづけた
こう見ると水野は悪役のようです。
が、水野には水野なりの思いや理屈があったはずです。
彼についても探ってみると、面白い事実や人間ドラマが浮かび上がってくるでしょう。
ライバルで見る歴史というのもまたさらに深みを加えます。
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