13xx年世界は深刻な異常気象や疫病に包まれました。
しかし、人類は死に絶えてはおりませんでした。
それまでのモンゴルによる世界支配はぐらつき始め、新世代が内側から突き破るように続々と……。
そんな中でも特に強大な征服王が中央アジアに現れました。
14世紀救世主(?)伝説。
モンゴルの血を継ぐ者ティムールの果てない野望と戦争の一生です。
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ティムールはどんな人
- 出身地:ウズベキスタン・カシュカダリヤ州
- 生年月日:1336年4月8日
- 死亡年月日:1405年2月18日(享年68才)
- 世界史上獲得面積第2位の征服王。ティムール帝国初代皇帝。
ティムールの年表
1336年(0才)ティムール生まれる
1364年(28才)西チャガタイ・ハン国の共同統治者となる
1370年(34才)王になる
1386~88年(50代前半)3年戦役
1392~96年(50代後半)5年戦役
1398年(62才)インド遠征
1402年(66才)アンカラの戦いでオスマントルコ皇帝バヤジット1世を生け捕りにする
1405年(68才)ティムール、明への遠征の途上、病死。
ティムールの生い立ち
ティムールは西チャガタイ・ハン国の貴族の生まれです。
西チャガタイ・ハン国は東のモグーリスタン・ハン国と激しく戦いあっております。
そして、そのモグーリスタン・ハン国を築き上げた英雄がトゥグルク・ティムール。
名前ややこしいですが、ティムールとは別人です。
若いティムールは西チャガタイ・ハン国側の軍指揮官としてモグーリスタン・ハン国と戦いますが、何度も敗れたり降伏したり。
闘争中、右手右足を負傷し、右足に障害を抱えるようにもなりました。
泥沼戦争
しかし、ティムールらはついにモグーリスタン・ハン国の勢力を故郷から追い出します。
そして、フサインという人物と西チャガタイ・ハン国の事実上共同統治者に。
ところが、フサインとうまくいかなくなり、モグーリスタン・ハン国の反撃もまじえて泥沼の展開となってゆきます。
結局、フサインは敗死。
ティムール帝国、事実上の建国です。
しかし、モグーリスタン・ハン国との抗争に横から割って入ったのがスーフィ朝。
何とかかんとか彼らをやっつけていったと思ったら今度は身内が反乱……。
スーフィ朝は「フハハ、和約を信じるとは!その甘さがお前の命とりよ!」みたいに、またすぐ攻めてきますし。
さらに事態をややこしくしたのは……。
トクタミシュの反逆
トクタミシュは北方ジョチ・ウルスの王族。
ジョチ・ウルス内の権力争いに敗れ、「ティムールさん。助けてください」とやってきます。
ティムールに金と兵と都市を付けて「がんばってこい」と送り出されると、きっちり勝ってジョチ・ウルスのハンに即位。
ところが。
ト「オレの名前を言ってみろ」
は、はい!偉大なるチンギス・ハン様の末裔、トクタミシュ様です!
ふり返れば友がいる?
一方でイランやアフガニスタンへ、トルコへ、と征服事業に余念がないティムール。
そんな時に“ヤツ”の裏切りを知り、きっちり返り討ちに。
ティムールはさらにどんどん征服地を広げてゆき、気付けばインドにもアラビアにも勢力範囲が及んでおります。
ふり返れば、あの強敵たち……。
トゥグルク・ティムール、フサイン、スーフィ朝君主ユースフ(敗死)、トクタミシュ(没落)、オスマントルコ雷帝バヤジット1世(ラスボス、捕虜)、……。
1405年カザフスタン・オトラルにおける厳しい冬、ティムールは明への大遠征を目指す道中、病死します。
享年68才。
それにあわせて子孫たちによる壮絶な継承争いが起こります。
ティムールの呪い
ティムールの世界への絶大な影響は生前だけでは収まりつかない、そんな話があります。
ティムールの呪いです。
1941年ソ連の考古学チームがサマルカンドにあるティムールの墓を調査しようとしました。
すると、その棺の表には
「私が死の眠りからさめた時、世界は恐怖に見舞われるだろう」
と記されております。
ソ連チームが無視して棺を開けると、さらに中からこんな文言が。
「墓を暴いた者は、私よりも恐ろしい侵略者を解き放つ」
それから2日後、アドルフ・ヒトラーのナチスドイツ軍がソ連に侵攻してきます。
一時はスターリングラードすら(当時のソ連指導者はスターリンです)、というほどの大ピンチ。
ですが、ソ連はティムールらの遺体を丁重に棺に葬りなおすと状況はよくなります。
ソ連軍はナチスドイツに反抗を強め、最悪の国難を脱しました。
きょうのまとめ
完全に、乱世に“力で覇を唱えた男”です。
にしても14世紀、すさまじいですね……。
気候変動とパンデミック(※)には十分ご注意を。
(※)疫病大流行
① ティムールは戦争で右足に障害を抱えた
② ティムールの一生は戦争に次ぐ戦争
③ ティムールの死から500年後、ティムールの棺を暴いたソ連がナチスドイツに攻められ、「ティムールの呪い」と恐れられた
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