孫武の名言 ~『孫子』に託した思想~

孫武

 

古代中国の武将にして、軍事思想家だった

孫武そんぶ

彼は、「戦争の勝敗はすべて天運にかかっている」という考え方がスタンダードだったこの時代に、ある書物を発表します。

それが、兵法の代表的古典である武経七書の一つとして伝わる兵法書、『孫子』です。

彼はこの書物を通して、戦争の勝敗には必ず理由が存在することを示しました。

今回は孫武が著した『孫子』の中から、彼が遺した名言を見ていきましょう。

 

「戦」について

まずは、戦についての孫武の基本的な考え方が分かる名言をご紹介していきます。

戦とは

孫武

兵は詭道きどうなり

(戦争とは騙し合いである)

これは戦についての孫武の認識が分かる、単純明快な名言です。

戦には武力だけでなく、知略を巡らせることの必要性を感じさせます。

戦の基本

孫武

算多きは勝ち、算少なきは勝たず

(勝利の条件が多ければ実践でも勝利するし、勝利の条件が少なければ実践でも敗北する)

戦の勝敗は天からの運によってではなく、勝利の条件がどれだけあるかにかかっている、と孫武は説きます。

当然、その条件が多いに越したことはありませんね。

まずは知ること

孫武

彼を知りて己を知れば、百戦してあやうからず。

彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。

彼を知らず己を知らざれば、戦うごとに必ず殆うし。

(敵の実状を知りかつ自分たちの実状を知っていれば、百回戦っても負けることはない。

自分たちの実状しか知らなければ、一勝一敗。

どちらの実状も把握していなければ、戦うことは危険である。)

どれだけ現状を把握しているか。

これも戦の勝敗に関係していると分かる名言です。

相手のことも自身のことも、疎かにしていてはどこかでボロが出ます。

孫武

じつを避けて虚を撃つ

(敵が備えている「実」の部分を避け、「虚」の部分を攻撃する)

敵が万全に備えている部分を正面から攻めるのではなく、予期せぬ部分から不意を突いて攻撃する。

勝利に近づくための基本的な策の一つとして、孫武は説いています。

 

戦上手とは

ここでは、いわゆる「戦上手」とはどのような人物のことを指すのか、孫武が語る名言をご紹介します。

こんな人1

孫武

善く戦う者は、勝ち易きに勝つ者なり

(戦上手と呼ばれた人は、勝ちやすい状況で勝つべくして勝った人たちである)

圧倒的不利な状況下で奇跡の逆転を遂げた者は、ときに「英雄」として讃えられます。

しかし本当の戦上手とは、着実に勝利への算段を練っている。

常に先を見越している人たちなのです。

こんな人2

孫武

人を致して人に致されず

(戦上手は自分が常に主導権を握り、相手のペースでは動かされない)

勝利への道筋を立て、先を考えた上で戦場に赴くからこそ、戦上手は常に余裕をもって冷静な判断ができるのです。

勝利するには、たとえ不利な状況であっても冷静な思考を保つことが必須です。

 

心得ておくべきこと

ここからは、孫武が語る、戦に際しての心得のような名言をご紹介します。

最善なのは・・・

孫武

百戦百勝は善の善なる者にあら

(百回戦って百回勝つことが「最善」なのではない。「最善」なのは戦わずして勝つことである)

この名言からは、孫武が決して戦を好んでいたわけではないことが分ります。

むやみに血を流すのではなく、不戦勝こそが最善の道である、という考えが見えてきます。

外道に落ちることなかれ

孫武

囲師には必ず

(包囲した敵軍には必ず逃げ道を残しておくこと。窮地に追い込まれた敵軍を攻撃し続けてはならない)

この名言からも、孫武の道徳的な精神性を窺うことができます。

戦の絶えない動乱の世であっても、人々が残虐非道な下衆になり下がらないよう、警鐘を鳴らしています。

よく考えること

孫武

利にあらざれば動かず、得にあらざれば用いず、危にあらざれば戦わず。

(利益なければ動かず、得することが無ければ使用せず、危機でなければ戦わず)

この名言では、戦になる前によく考えることの重要性を説いています。

ここからもやはり孫武が、むやみに犠牲を出すことなく、いかに戦わずして勝つかを考えていたかが分かります。

 

きょうのまとめ

今回は孫武が記した兵法書『孫子』の中から、彼が遺した名言たちをご紹介しました。

いかがでしたでしょうか。

何か参考にしたいものはありましたか。

最後に、今回の内容を簡単にまとめると

① 古代中国の武将、孫武は兵法書『孫子』の著者である。

② 孫武は『孫子』の中で、様々な名言を遺している。

③ 『孫子』に書かれた名言は、現代の生活でも活かせる様なものが多くある。

戦の絶えなかった古代中国。

自らも武将であった孫武が書いた『孫子』は、一見すると現代の私たちには縁の遠いものに思えるかもしれません。

しかしこの兵法書に書かれている内容は、現代のビジネスシーンに活かすことができたり、知性を磨く上で重要な気づきを多くもたらしてくれます。

実際に、様々な出版社によって分かり易く解説された本書がいくつもあるので、興味を持たれた方はぜひ一冊手に取ってみてはいかがでしょうか。

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