モーセとはどんな人物?簡単に説明【完全版まとめ】

 

旧約聖書の『出エジプト記』によって、ユダヤ人たちを奴隷の身から解放した人物として描かれる、

モーセ

現代でも映画『十戒』において、海を割るシーンは人々に鮮烈な印象を与えました。

モーセとは一体どのような人物だったのでしょうか。

今回はその生涯について、伝説と共にご紹介していきます。

 

モーセはどんな人?

プロフィール

ドゥラ・エウロポスのシナゴーグから出土した3世紀頃の壁画。モーセがナイル川から拾われる場面を描いている
出典:Wikipedia

  • 出身地:エジプト
  • 生年月日:紀元前1330年?
  • 死亡年月日:紀元前1210年?(享年120歳)
  • 旧約聖書の登場人物。預言者。『出エジプト記』で神から「十戒」を授かった。

 

モーセ 年表

年表

紀元前(年齢)

1330年?(0歳)エジプトでイスラエルの民の子孫として誕生。

1250年?(80歳)羊飼いとして晩年を送っていたところ、神の啓示を受けイスラエルの民をエジプトからカナンの地へ導く。

1210年?(120歳)カナンの地を目前にしてネポ山にて死去。

 

モーセの生涯

ここからは早速、旧約聖書や『出エジプト記』で語られるモーセの生涯について見ていきましょう。

王女の息子として

紀元前13世紀のエジプトに誕生したモーセ。

両親はエジプトの地で繁栄したユダヤ人の末裔でした。

しかしモーセが誕生した頃、エジプトではユダヤ人の繁栄を恐れたファラオによる弾圧が行われていました。

「ユダヤ人の新生児を全て殺害する」

というファラオの政策を恐れた両親は、生まれて間もないモーセをナイル川に流します。

パピルス(葦)で編まれた小さな籠に乗せられ川を下るモーセを、姉のミリアムは川伝いにそっと後をつけ見守っていました。

一方その頃ナイル川ではファラオの娘、つまりエジプトの王女が侍女を連れてナイル川で水浴びをしていました。

そこにモーセを乗せた小舟が行き着いたのです。

幼子を見つけて憐れに思った王女は、籠から引き揚げ自身の手で育てることにしたのでした。

ちなみに、モーセの名前の由来は、ヘブライ語で「川から引き揚げられた子」という言葉にちなんで王女によって命名されました。

そしてその一部始終を陰から見守っていた姉ミリアムの計らいにより、モーセの実の母親が乳母として雇われ、モーセは王女の庇護の下で不自由なく成長していくのでした。

羊飼いへ

宮廷で王家の子供として育てられ無事に成人したモーセ。

彼は自身の本当の血筋を知り、エジプト人によって同胞が奴隷として働かされている現実に、思いを巡らせることになります。

そしてある日、エジプト人によって鞭打たれるユダヤ人を見て彼を助けようとしたモーセは、誤ってエジプト人を殺してしまったのです。

その事がファラオに知られ命を追われたモーセは、ミディアンの地(アラビア半島)に亡命。

遊牧民の元に身を置き、自身も羊飼いとしての生活を送ることになりました。

神の啓示

遊牧民族の娘と結婚し、子宝にも恵まれたモーセ。

気づけば80歳を迎えていました。

彼はある日、いつものように羊を追っていたところ、シナイ山のふもと辺りで燃える柴に遭遇します。

不思議に思って近づいたモーセに、突然神の声が語り掛けてきたのです。

「エジプトに戻り、イスラエルの民(ユダヤ人)を救いなさい。そして約束の地、カナンへと連れて行きなさい」

こうして、神の啓示を受けたモーセは妻子と共にエジプトに戻り、ユダヤ人やファラオに対して説得を始めたのでした。

10の災害

しかしいくら神からのお告げであっても、それを人々に信用してもらうにはなかなか一筋縄ではいきませんでした。

ユダヤ人たちはモーセの話に半信半疑であり、ファラオは労働力を失うことになるため、当然ユダヤ人たちの出エジプトを許可しませんでした。

そこで困ったモーセは神に相談。

神は以下の10の災害をエジプトにもたらすことにしました。

・ナイル川の水を血に変えて魚を殺し、水を飲めなくする

・カエルの異常発生

・ブヨの異常発生

あぶの異常発生

・疫病を流行らせ家畜を殺す

・膿の出る腫物を流行らせる

ひょうを降らせ作物を全滅させる

・イナゴの大量発生

・3日間エジプト中を暗闇で覆う

・家畜を含め長子を全て殺す

そして神は次々とこの災いをエジプト中にもたらします。

最後に挙げられた災いを起こす前、神はモーセに

「子羊の血が塗ってある門柱の家は長子を殺さず通り過ぎていく」

と告げます。

モーセの忠告を守ったユダヤ人の長子は皆無事であり、後継者を失ったファラオは神の力に恐怖したことで、ようやく出エジプトの許可が下りたのです。

出エジプト

こうしてモーセは200万人ものユダヤ人を引き連れて、カナンの地を目指す旅が始まりました。

この旅の途中で有名なのが、モーセが神の力を借りて海を二つに割り、その間をユダヤ人たちが歩くという場面。

そこには一度許可を出したファラオがユダヤ人たちを連れ戻す、或いは皆殺しにするために追撃し、それから逃れるためという背景があります。

ユダヤ人たちが無事に渡り切った後に再び海は閉じ、後を追っていたエジプトの兵は皆呑み込まれてしまったのでした。

旅を続けて3ヵ月後、モーセはシナイ山のふもとで「十戒」を授かります。

これについては別の記事で解説しているので、興味のある方はぜひ合わせてご覧になって下さい。

カナンの地に向けてひたすら旅を続ける人々。

しかしユダヤ人たちの中には、次第にモーセを介した神のお告げを破る者や、長旅に不満を抱くものが現れます。

そして遂には神の逆鱗に触れ、モーセたちは荒野に引き戻され、旅の終着には40年もの歳月が課せられたのです。

その間にユダヤ人たちの間では世代交代が起こり、モーセ自身もカナンを目前にして120歳でこの世を去りました。

モーセは自身の死を前にして後継者を指名し、その後は選ばれたヨシュアがユダヤ人たちを先導。

こうして、数々の困難を経験したことで信仰心を強固にした人々は、無事にカナンの地に辿り着くことができました。

 

合わせて読みたい
モーセの十戒についてはこちらをどうぞ。
関連記事 >>>> 「モーセの「十戒」簡単に解説!」

 

モーセにまつわるエピソードや伝説

ここでは、モーセにまつわるエピソードをご紹介していきます。

モーセの血筋

神の啓示を受けて数々の奇跡を起こし、ユダヤ人たちを奴隷の身から解放。

そしてユダヤ人という一つの民族にまとめ上げたモーセ。

しかし何故選ばれたのがモーセだったのか、疑問に思う方もいるのではないでしょうか。

そこにはやはり、モーセの血筋に理由がありました。

先述した通り、彼はユダヤ人の末裔です。

その家系を辿ると、彼は旧約聖書の別の物語に登場する人物ヤコブの12人の息子の内の一人、レビの子孫だったことが分かります。

ちなみにユダヤ人たちがエジプトの地で繁栄を築くことができたのは、ヤコブの11番目の息子であるヨセフの功績によるもの。

モーセはそこから300年以上経ち、ヨセフの功績が忘れ去られた頃に誕生した、『創世記』始まって以来の主人公たちの血を引く人物だったのです。

モーセも神を怒らせた?

80歳から40年もの旅を続け、カナンの地を目前にして、ヨルダン川手前のネポ山に登り死去したモーセ。

ここまで神の啓示と助けを受けながらユダヤ人たちを導いてきた彼は、遂にその地に踏み入ることはありませんでした。

その理由についても定かではありませんが、単に世代交代の波に抗えなかったというものの他に、彼自身も神の掟を破る行いをしたという説もあるのです。

 

きょうのまとめ

今回は旧約聖書に登場する人物のモーセについて、その生涯や主な功績をご紹介してきました。

いかがでしたでしょうか。

新たな学びは得られましたか。

最後に、モーセとはどのような人物だったのか簡単にまとめると

① 旧約聖書の『出エジプト記』に登場する主人公。

② 神の啓示を受け、ユダヤ人たちをカナンの地に導いた。

③ 後のキリスト教やイスラム教にも影響を与えた。

一見なじみの薄い聖書の物語も、人物に焦点を当ててみることで、また違った角度からその思想を知るきっかけになるのではないでしょうか。

 










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