名言で辿る幸田露伴|業界隋一の知識人は努力と行動力の人だった!

 

幸田露伴こうだろはんは20代のうちに作家としての成功を手にしましたが、

とにかく研究熱心な人物で、その地位を確立してからも他作品や中国文学の研究に没頭していきます。

その甲斐あって当時は業界隋一の知識人と称され、1911年には文学博士の学位を、1937年には第一回文化勲章を授与される功績を残しました。

生涯を通して文学に情熱を傾け続けた露伴の残した言葉が、その後、業界に与えた影響は計り知れません。

またひとつの分野に邁進し続けるその姿勢には、作家を志す人のみならず、あらゆる人生に通じるヒントが隠されています。

今回は彼の残した名言を辿ることで、その人となりを感じていきましょう。

 

努力の名言

幸田露伴

幸田露伴
出典:Wikipedia

努力して努力する、それは真のよいものではない

努力して努力する、それは真のよいものではない。努力を忘れて努力する、それが真の好いものである

露伴が努力を語ったもので一番有名な著作といえば1912年初出の『努力論』です。

こちらはその中の一節。

要するに「成果を出さなければ!」と躍起になって取り組むよりも、

「夢中で取り組んでいたら、いつの間にか成果が出ていた」

という方がよい結果になりやすいということです。

考えてみれば道理で、「頑張る」という意識には苦痛が伴いますが、「楽しむ」という意識には苦痛はありません。

成果を出すためには継続することが大事ですから、どちらのほうが結果に結びつきやすいかは一目瞭然ですね。

それなら好きなこと以外で成果を出すことは難しいのでは…と思わされますが、おそらく露伴がいいたいことは「真に没頭すれば、頑張ることすら楽しくなってくる」ということでしょう。

「頑張らないと…」「辛いな…」のような気持ちがあるうちは、まだまだ本気にはなれてないということです。

生涯を執筆や文学の研究に捧げた露伴がこれをいうと、いかにも説得力がありますが、なかなかに厳しい言葉ですね…。

人の常道、敗れたる者は天の命を称して嘆じ

人の常道、敗れたる者は天の命を称して嘆じ、成れる者は己の力を説きて誇る

こちらは1919年初出の『運命』の一節。

成果を出せない人は「ついてないなあ…」と、環境や他人のせいにしがち。対して成果を出せる人は、結果はすべて自分の責任だと捉えている…といったところでしょうか。

たしかに環境や人に恵まれたおかげで成果が出せたとしても、本人が成長していなければ長続きはしないでしょう。

実際に露伴は幼少期、家計の事情で学校にも通えないなど、境遇には恵まれませんでした。それでもその逆境を押しのけて、作家として大成してみせたのです。

彼が「学校に通えないのに、どうやって勉強しろっていうんだ…」などといっていたら、業界隋一の知識人と呼ばれる未来はなかったでしょうね。

 

生き方の名言

貧富何ぞ論ずるに足らんや、ただ一日を如実に働くべきのみ

貧富何ぞ論ずるに足らんや、ただ一日を如実に働くべきのみ、幸福も不幸福も忘れた時が真の幸福である

こちらは1923年初出の『貧富幸不幸』の一節。

何か欲しいものを手に入れたとして、そのときは幸せな気持ちになれるかもしれませんが、それはずっと続くものではありません。

考えてみれば、手に入れるために頑張っているときのほうが、ずっと有意義だったりしないでしょうか。

誰かのために、自分の成長のために一生懸命働く…物や地位への欲ではなく、その行為自体に充実感を覚えることが真の幸せだと、露伴はいっています。

「如何にあるべきか」を考へるより「如何に為すべきか」を考へる方が

「如何にあるべきか」を考へるより「如何に為すべきか」を考へる方が、吾人に取って賢くもあり正しくもある

『運命は切り開くもの』の一節です。

これも前項と同じで、結果よりも行動が大切だということ。

要は「結果そのものよりも、今何をするかを考えたほうが結果には結びつくんじゃないの?」と露伴はいいたいのでしょう。

「こうなったら嫌だな…」といって、なかなか行動に踏み切れない人もいれば、「自分はこんなことを考えている!」と語るばかりで、行動が伴わない人も多いです。

こう見ると「いいから行動しろよ!」という意味のこの言葉は、いかにも人間の本質をついているといえますね。

実際に露伴の例を挙げると、彼は専門学校を卒業後、北海道にて電信技師の仕事につきましたが、文学に目覚めるとすぐに仕事をほっぽり出して東京へ帰ってきてしまいました。

堅い仕事を捨てて、まったく畑違いの作家を目指すなどいかにも望みの薄い話ですが、露伴はこのときも結果など意識せず「いいから行動しよう!」という感じだったのでしょう。

結果として彼は作家で大成功を収めるのですが、きっと上手くいかなかったとしても、電信技師を辞めたことを後悔することはなかったはずです。

 

きょうのまとめ

幸田露伴の研究熱心さや、逆境を跳ね除けて人気作家へと成り上がったその人となりは、彼の作品の中にもしっかりと残されていました。

露伴の作品には難解なものも多いですが、こうして節々にためになる名言が散らばっていることを思うと、すべて理解できなくても読む価値は十分にあるといえます。

最後に彼が名言を通して伝えていたことをまとめておきましょう。

① 真に没頭すれば努力さえも楽しくなる

② 成果を出す人は他人や環境のせいにしない

③ 行動しなければ結果はない。また行動そのものに充実感を覚えることが真の幸せ

こうみると露伴はまさに、努力と行動力の人だったことがわかります。その名言には、座右の銘にできるようなものも、きっとあるのでは?
 

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