唐の太宗と玄宗。
一国民の立場からしてどっちがいいのかは決まっています。
玄宗は国をメチャクチャにしました。
あれだけ悪女として名高い則天武后よりもずっと下です。
しかし、物語の主人公としてならどっちが面白いでしょう。
太宗は立派ですが、まるで起伏がありません。
それよりはるかに人情味のあふれまくっている玄宗は絵になる人です。
起・承・転・結のあざやかすぎるその人生を追ってみましょう。
玄宗はどんな人?
- 出身地:中国洛陽
- 生年月日:685年9月8日
- 死亡年月日:762年5月3日(享年76才)
- 唐の皇帝。唐の全盛期をなしとげるが、晩年は政治が乱れ、“安史の乱”を起こされる。
玄宗の年表
685年(0才)玄宗生まれる
705年(20才)則天武后亡くなる
710年(25才)韋皇后・安楽公主を倒す
712年(27才)皇帝に即位。太平公主を殺害。
713年(28才)開元始まる
740年(55才)玄宗、楊貴妃を見出す
755~763年(70才~)安史の乱
762年(76才)玄宗亡くなる
女人天下との戦い
玄宗は本名李隆基。
唐の皇帝睿宗の3男として生まれました。
時は女人天下の真っただ中です。
・安楽公主
・韋皇后
・太平公主
彼女らは自分たちの都合で唐王朝の多くの皇族や家来たちを残酷に食い物にし、取り除き、やりたい放題しています。
もともと気力に満ちあふれていた玄宗にとって目の前の課題は唐王室の実権を彼女らからいかに取り戻すか、でした。
玄宗は、時に果敢に、時に味方の風を装い、一人、二人、と蹴落としてゆきます。
そうして勝ち残った玄宗はついに皇帝に即位。
翌年には元号が開元に改まり、中国始まって以来の繁栄が始まります。
開元の治
もともと気力に満ちあふれていた玄宗にとって次なる課題は唐王朝の軍事・政治です。
姚崇、宋璟などのとても優れた人材を用い、
●辺境に節度使(フリーランスの兵たちのボス)を設置
●対外戦争を少なくし、出費を減らす
などして、唐王朝の国力は絶好調!
この時代は後に“開元の治”としてほめたたえられます。
こうして玄宗は名君として約30年。
しかし、年も50半ばに差しかかった時、思いもよらない運命と出会います。
楊貴妃とのラブロマンス
玄宗にはたくさん妻や愛人がおりました。
その中でも特に愛していたのが武恵妃。
しかし、彼女に先立たれ、玄宗の心にポッカリ大きな穴が空いてしまいます。
そんな時に出会ったのが楊玉環。
もとは息子寿王の妃でした。
が、玄宗は奪い去ります。
楊玉環はやがて後宮における序列のトップクラスである貴妃となり、楊貴妃と呼ばれるようになりました。
楊貴妃はぽっちゃり系の美女。
そして、芸術センスに優れ、とても自由奔放です。
玄宗もとても芸術が大好きな人。
そんなファンタジックな楊貴妃の魅力にドはまりしてしまいます。
ロマンスの果て
二人はまるで初々しい若カップルのようです。
ささいなことでじゃれあい、けんかもし、フンってやって、しばらくすると
「もう切なくてがまんができない」
と仲直りします。
そんなことを延々16年間。
政治にも軍事にも身が入らなくなり……。
そんな間を「しめしめ」と割って入る、政治家としての中身はいただけないけれど、取り入ることだけは上手な人たち。
李林甫、楊国忠、……、その中でも極めつけは安禄山です。
あれだけ玄宗や楊貴妃に何の恥じらいもなく媚びを売りまくっていたのに、自分の立場が悪くなると反乱を!
すっかり弱体化していた唐軍は反乱軍に蹴散らされまくり。
とうとう追いつめられた玄宗は都を置いて逃げ出し、その先で付いてきた兵たちにストライキを起こされました。
彼らの望みはただ一つ。
「こんなことになった原因の楊貴妃を殺せ!」
玄宗はあれだけの夢うつつを16年もやったあげくに、ふと現実に気づき、楊貴妃を殺すことを認めてしまうのです。
あわれ、楊貴妃は亡くなり、玄宗も皇帝を退くしかなくなります。
後を息子にたくしますが、混迷はいつ果てるとなく延々と。
そんなさなか玄宗は76才で亡くなり、乱はその翌年やっと収まりつきました。
国破れて山河あり。
大きく権威を落としてしまったかつての唐王朝の栄華はもう二度と戻ってくることはありませんでした。
きょうのまとめ
① 玄宗は韋皇后・安楽公主・太平公主の女人天下を力づくでおさえて皇帝に即位した
② 玄宗は“開元の治”とたたえられるほどの名政治をやってのけ、唐王朝最大の繁栄を築いた
③ 晩年の玄宗は楊貴妃への愛におぼれるなど、政治を見失っていった。その挙句“安史の乱”を起こされ、唐王朝は大いに弱体化した
優秀でも世の中というのはなかなかむずかしいですね。
それに残酷です。
ちなみに李世民の皇后はとてもつつましい模範的な賢女タイプです。
この辺、両者の性格のちがいがよく表れていますね。
その他の世界の偉人ははこちらから
関連記事 >>>> 「世界の偉人一覧」
コメントを残す