アインシュタインの脳 数奇な運命とその特徴

 

「相対性理論」や「ブラウン運動の理論」など、

数々の有名な理論を生み出し、現在に至る科学の発展に大きな貢献をした人物、

アインシュタイン

目に見えないけれど確かに実在する事物について、数式を用いて次々と理論的に解き明かしていく姿に、人はいつしか彼のことを天才科学者と呼ぶようになりました。

今回はそんな人並み外れた柔軟な発想と思考を可能にした、アインシュタインの脳についてご紹介していきます。

 

盗まれた脳

アインシュタイン

出典:Wikipedia

知性に魅せられて

1955年4月、腹部大動脈瘤の破裂により76歳でアインシュタインが亡くなると、その遺体はひそかに解剖されることになりました。

その後、埋葬された遺体はなんと脳が丸ごとなくなっていたのです。

アインシュタインの遺体を目の前にした病理学者のトマス・ハーヴィーは、

「天才」の脳に、強い興味を抱きました。

彼は「アインシュタインの脳の構造や特徴を自らの力で解明したい」という強烈な欲求に突き動かされ、遺体解剖の後に脳を元の位置に戻すことなく、こっそりと自身の手元に置くことにしたのです。

しかし後にそのことが病院側にバレ、ハーヴィーは解雇されることに。

それでも何とかアインシュタインの親族に許しを得ると、脳を家に持ち帰ります。

ハーヴィーにとってアインシュタインの脳の秘密を解き明かすことは、もはや自身の使命であるように思われていたのです。

バラバラで散り散りに!?

しかしそれは当然一人の病理学者の手に負えるものではなく、研究に行き詰まったハーヴィーは、今度はこの人類の宝とも言える貴重な脳をどうやって保管するか考えることに。

考えた末になんと彼は脳を各部ごとに小さく薄くスライスし、保存液の入った瓶の中にひとつひとつ入れ標本にしてしまったのです。

それはまるで、学校の理科室に置いてある生物のホルマリン漬けのようでした。

そして彼は、世界中にいる脳研究者たちにほとんど一方的に、この標本にされた脳の断片を送りつけたのです。

彼としては、自身の手に負えなかったこの知性の塊を未来ある研究者たちに託し、少しでもその秘密につながる手がかりを掴むことに必死だったのでしょう。

あるいは、ただその重大な責任を誰かと共有したかったのかもしれません。

どちらにせよ、盗まれた挙句にばらばらにされたアインシュタインの脳は、その後、なんと40年に渡って行方知れずになってしまったのです。

今もどこかに

アインシュタインの脳の行方が分からなくなってから約30年後

カリフォルニア大学の有名な神経解剖学者のもとに、脳の一部である4つの小さな断片が届けられました。

そして現在になって、世界中で少しづつ彼の脳の断片が見つかってきています。

理由のひとつに、ハーヴィーから送られ保有していた持ち主が高齢になり、保管するのが困難になってきたことが考えられます。

しかしもしその持ち主たちが、有名な研究機関ではなくハーヴィーのように個人的に別の人間に託してしまったとしたら、アインシュタインの脳が全て見つかることはますます難しくなってきます。

 

天才科学者 その脳の特徴

ここでは、現在分かっているアインシュタインの脳の特徴について

ご紹介していきます。

重さについて

トマス・ハーヴィーが最初にアインシュタインの脳を取り出したとき、その重さを計測しました。

今でも「頭が良い人は脳が重い」なんて言葉を耳にすることがありますが、彼の脳を量ったところ、なんと予想外の数値が表示されたのです。

一般人の脳の重さは約1400gだと言われていますが、アインシュタインの脳は1250gという、一般よりも軽いという結果に。

これにより「頭の良さが必ずしも脳の重さと関係しているわけではない」ということが分かります。

細胞について

貴重な脳の断片からその特徴を調べていくと、アインシュタインの脳にはある細胞が極めて多く存在していることが分りました。

それは「グリア細胞」という細胞でした。

この細胞は、神経細胞に酸素や栄養素などを運搬する役割を持っていて、この働きによって神経細胞が活発に動くことが可能になるのです。

さらにこの細胞は、ダメージを受けた神経細胞を発見し、その部分を修復し保護する役割も持っています。

現在ではこのグリア細胞が、記憶や学習に関する脳の働きに大きく関係することが判明しているため、

この細胞がアインシュタインを天才にした理由を握っていそうです。

形について

脳は中央に溝があり、左脳と右脳に分かれています。

そしてアインシュタインの脳は、そのが一般的に見て人よりも浅かったことが明らかになりました。

これはすなわち、左脳と右脳の間を結ぶ情報伝達が人よりも速いということを意味しているのです。

アインシュタインの頭の回転の速さは、まさにこの溝の浅さがカギとなっていたのです。

 

きょうのまとめ

今回は、天才と謳われた学者アインシュタインの脳について、

死後に辿ったその数奇な運命と特徴をご紹介しました。

簡単にまとめると

① アインシュタインの死後、脳は盗まれ世界中の脳研究者のもとに散り散りになった

② 現在では少しずつその断片が見つかり、研究によってその特徴が明らかになってきている

③ アインシュタインの知性の秘密は、脳の重さではなく、グリア細胞の多さと左脳と右脳を結ぶ溝の浅さが関係している

死後、自分の脳がまさかこんなかたちで扱われることになるとは、アインシュタインも考えたことがあったのでしょうか。

そしてこの現状をどう思うのでしょうか。

気になったところで永遠に分からないままですね。

 
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